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#二人だけのタイムライン  作者: 千子


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23/35

第23話 どっち?

どうしようか悩んだ末に、ミルクティーさんとぬい活沼さんに相談することにした。

「と、いうことで、私は本当にリアルの糊さんがSNSで初めていいねしてくれたあの糊さんか不安になってきています」

「それは不安になるよね〜」

「同じクラスなんだよね?物理的に離れるのはやっぱり無理か……」

この二人は安心する。

見えなくても安心する二人と、見えているから不安な糊さん。

私は、本当にリアルの糊さんを信じていいのかな。

「そういえば、今日はバイト代が入ったのでミルクティーさんがこの間おすすめしていた茶葉を通販してみました!」

「えっ、まじ?ありがとう〜!美味しいから楽しみにしていて!」

「はい!」

「私も買ってみたよ〜」

ぬい活沼さんはそう言うと、ミルクティーさんは美味しい淹れ方をまた話してくれた。

どこが美味しかったかとか、聞いていて勉強になることばかり。

「届いたらやってみます!」

「ぜひぜひ〜!」

そんな他愛無い談笑が楽しい。

最近の糊さんは、私が疑惑を持ってしまって楽しいのか怖いのか、よく分からない。

「糊さんとは……ちょっと距離を置いてみます」

「うん、それがいいと思うよ」

「急にSNSをブロックすると何されるか分からないかもだから徐々にフェードアウトするのがいいよ」

「……はい」

通話を終えて、ベッドに寝転がる。

明日も学校はあるしバイトもある。

推定糊さんとはまだまだ出会う。

……バイトは、やめようかなぁ。

考えて、考えて、いつの間にか寝てしまっていた。

そこには糊さんが二人いて、歪な笑みの糊さんといつもの笑顔の糊さんがいた。


朝、目が覚めると私は学校へ行く支度をした。

正直気が重い。

「おはよう」

「おはよう」

糊さんが返してくれる。

前は嬉しかったのに、今はどうしたらいいか分からない。

曖昧に微笑んで、友達の席へと向かった。

「おはよう」

「おはよー」

糊さんの方をちらりと見ると、まだこちらを見ている。

「ね、最近何かあった?ちょっと前までいい感じだったのに」

「うん、ちょっと……」

「まあ、あの子昔から変わっているしね。ついていけなくなった感じ?」

「昔からって、昔から知ってるの?」

ずずいっと寄った私に仰け反る友人。

「幼稚園から同じだよ。こんな田舎だもん。別に珍しく無いでしょ」

「変わっているって、どう変わっているの?」

その子は少し考える素振りをして、口を開いた。

「なんでも他人の真似をしたり、何かに執着するところかな」

その言葉は私の頭をガツンと殴った。

他人の真似をする、執着する。

糊さんの振りをして私に執着している?

私は怖くなって、糊さんがいる後ろが見れなくなった。

「大丈夫?また顔色が悪いけど」

「大丈夫。席へ行くね」

そう言って自分の席に座ると、糊さんが来た。

どうしよう。

「本当に顔色が悪いけど、大丈夫?」

「大丈夫だから……。ありがとう」

「そう?」

糊さんは心配そうだった。

胸が痛む。

でも、この想いは断ち切らないといけない。

私は俯いて糊さんからの視線から逃れた。


「バイトを辞める?」

「はい」

「……何かあった?」

店長が気遣わし気に尋ねてくる。

私は何も言えずにただ辞めたいとだけ繰り返した。

せっかく覚えた仕事。

話をするようになった常連さん。

楽しくなった仕事。

優しい店長。

そのすべてを手放すのは寂しい。

でも、糊さんが怖くて続けるのは難しい。

手が震える。

こうして私の初めてのバイトは終わってしまった。

短かったけれど、楽しかったな。

糊さんが扉の外からその話を聞いていて、ぐっと手を握っていたのは気付かなかった。

その激情の意味を私は知らない。

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