第21話 疑惑
糊さんに疑念を抱くようになった私は、以前みたく盲目的に糊さんにリスペクト出来なくなってしまった。
糊さんは、なんでこんなに犯人探しをしたがるんだろう。
こんな時に相談出来る相手がいればなぁ……。
でも、私にはリアルでこんなこと相談出来るほど深い相手はいない。
クラスメイトで話せる相手はいるけど、話がデリケート過ぎる。
SNSに精通していて、糊さんのことを知っていて、私と仲のいい相手……。
ミルクティーさんとぬい活沼さんが思い出される。
二人とも、どうしているかな。
糊さんと二人だけのタイムラインを眺める。
糊さんとのやりとりは楽しい。
でも、私の承認欲求は糊さん一人じゃ満足できないみたいだ。
ミルクティーさんとぬい活沼さんと話をしたい。
そう思いながら、糊さんとのタイムラインで言葉遊びをしていたら、ピコンと軽快な音を立ててスマホが通知を告げた。
ミルクティーさんからフォローされました。
無機質なその一文に驚いて飛び上がる。
続いてまたピコンと音を立ててぬい活沼さんにフォローされましたと表示されている。
私は慌ててフォロバして、一息ついた。
するとすぐにミルクティーさんからリプライがきた。
「本人かどうか分からなくてフォロバするの遅くなってごめん!」
ぬい活沼さんからも謝罪された。
「そんな、こっちが突然アカウント消したのに」
「いいって、あの時はしょうがないよ」
「そうだよ。それにまたこうして繋がれたしね」
私はその言葉に胸が熱くなる。
繋がっている。
それがどんなに嬉しいことか。
そうだ、二人なら。
私は糊さんに見られないようにミルクティーさんとぬい活沼さんにDMで最近の事情を説明した。
「なんていうか、修羅場だね」
「糊さんを疑いたくなる気持ちもわかる」
「でも、糊さんは糊さんだし……」
「……その糊さんってさ、本当に糊さん?」
「えっ」
「なりすましとかじゃなくて?」
私は頭にガツンと衝撃を受けた。
糊さんが糊さんじゃない?なりすまし?
そんなこと、考えたこともなかった。
だって、見せてもらったSNSのアカウントは糊さんのものだった。
「IDは確かめた?」
「そんな細かいところまで見ていないです」
でも、今までの糊さんのアカウントと繋がっているはずだ。
「アカウントの乗っ取りなんて簡単に出来るよ」
私は訳がわからなくなってしまった。
だって、あの同じ空を見て、笑った糊さんが、糊さんじゃない?
アカウントの乗っ取り?
えっ、私は誰と話していたの?
なら、あの人はなんで私にあんなに協力的なの?
体が震える。
庇うように身を丸めて布団を被った。
「大丈夫?」
「何かあったら相談して」
二人の優しさが嬉しい。
でも、今は混乱が大きい。
糊さん、信じていいんだよね?




