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#二人だけのタイムライン  作者: 千子


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20/35

第20話 晒したのは

「加藤さんのこと、今日も張り込むの?」

「そうだよ。ほら、このログを見て。うちのコンビニが写っている。この時間帯にここを通る人が犯人なんだよ」

晒したアカウントのログを漁ってスクショした画像を見せられる。

でも、それだけで本当に加藤さんが犯人なのかな?

「人通りが多いし、他の人かもしれないよ」

「でも、他の人が君を晒してなんの得になるのさ」

私は考えた。

「愉快犯とか?」

「そうか。それもあるかもね」

糊さんが頷く。

「でも、昨日も態度がおかしかったし、加藤さんが何か知っていると僕は思うな」

「それは、確かに……」

糊さんの言葉は不思議と説得力がある。

あんなに加藤さんが犯人だって決めつけるのはよくないって思っていたのに、加藤さんが怪しく思える。

「来たよ」

「うん!」

また、加藤さんを待ち構えて対面する。

「お仕事お疲れ様です、加藤さん」

「お疲れ様です!」

「貴方達……」

加藤さんが身構えた。

「加藤さん、これを見て欲しいんですが……」

糊さんがスマホを差し出そうとしたら、そのスマホは加藤さんによって払われた。

ガシャンと音を立てて路面に落ちるスマホ。

私が慌てて拾うと、ヒビが入っていた。

「自供しているようなものですが」

「違う!私は晒しただけ!最初の炎上は私じゃない!」

晒したのは晒したんだ……。

同じバイト先で、あまり喋った事はないけれど普通の人だと思っていたのにSNSだと笑いながら人を晒す。

「なんで、なんでこんな事したんですか?」

最初の炎上が加藤さんじゃないにしても、私と加藤さんの接点はほぼない。

恨まれる動機がない。

「あなたが……店長や彼から親しくされていたから……」

「え?」

「私だって、みんなにちやほやされたい!構われたい!飴だって私は貰ったことがない!」

加藤さんは泣いていた。

加藤さんは私だ。

SNSに出会って、ミルクティーさんやぬい活沼さん、なにより糊さんに会う前の。

全部が嫌で、それでも変えたくて、変え方がわからなくて、全部に嫉妬していた。

一歩前に出る。

びくりと怯える加藤さんの前髪を上げる。

「加藤さん。世界って広いんですよ。私も最近知ったんですけどね」

笑えているかな。

笑えているといいな。

「……私を恨まないの?」

「恨まないって言ったら嘘になります。でも、あなたの涙は真実だと信じたいから」

加藤さんは泣いて蹲っている。

「糊さん、これ、ヒビ入っちゃっていますけど」

「ううん、大丈夫。ちょうど機種変しようと思っていたところだし」

嘘だ。このスマホは新しい機種だ。

私に気を使わせないようにする糊さんに感謝する。

それから、疑ってごめんなさい。

「加藤さん。今回は彼女が許してくれるみたいだけど、あの拡散された呟きは削除してくれますね」

「……うん。ごめんね」

「いいえ!加藤さん。もしよかったらSNSで繋がりませんか?」

加藤さんがきょとんとした。

「リアルだと、時間帯が合わないけどSNSなら繋がっていられるから。誰かと繋がるって、いいですよ」

加藤さんが慌ててスマホを取り出す。

「わ、私でよければお願いします……!」

「よかった!」

糊さんは呆れていた。

でも、私はこれで良かったと思っている。

また誰かと繋がれた喜びで、恐縮してずっと振り返りながら頭を下げては帰る加藤さんを見送った。

「さて、今度は元凶探しだね」

「元凶?」

「君の写真が加工だとか言い出したやつだよ」

「ああ!」

ポンっと私は手を打った。

そういえば、私の姿が晒されたことで忘れていたけど、最初は加工だと言われたことだった。

「……正直、もう疲れたというか、人を疑いたくないというか……」

「ダメだよ。だって、さっきの加藤さんの写真だってたくさん拡散されて、もしかしたら保存されているかもしれないんだよ?デジタルタトゥーっていうのは消えないんだよ?」

糊さんが熱弁する。

一生消えないデジタルタトゥー。

そんなことをした犯人。

「……うん。気になってきた」

「じゃあ、まだ犯人を探そう」

こうして、一難去ってまた一難。

私達は最初の元凶を探すことになった。

でも糊さん。

なんでそんなに犯人探しに躍起になるの?

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