第18話 犯人探し
SNSに映される、糊さんと同じ空の写真を眺める。
繋がっている。
そう思えた。
糊さんが彼だったなんてなぁ。
どっちの彼に惹かれるのが早かったんだろう。
糊さん?彼?
そんなこと、どうでもいいか。
「……二人だけのタイムラインかぁ」
ぬい活沼さんとミルクティーさんにフォロバされたいけれど、名前もIDも違うし、私だって気付かないよね。
しばらくは糊さんとの二人だけのタイムラインで犯人探しだ!
まずは加藤さん!
犯人を目撃したかもしれない彼女に尋ねてみる。
それが第一歩。
「初めて喋る人だけど、頑張ろ」
人見知りで俯いているばかりの私はもう辞めたんだ。
それに、私には、彼が、糊さんがついている。
一人じゃないってことがこんなに心強いなんて。
明日のシフトに早めに行って、糊さんと合流して加藤さんが帰るところに待ち伏せして話を聞く。
ドキドキしてきた。
今日は早めに寝よ。
布団をぼすりと頭まで被って私は明日のイメトレをしながら寝た。
翌日、早めに出勤して裏口から加藤さんが出てくるのを糊さんと待つ。
「……来た!」
裏口から加藤さんが現れた。
「あの、加藤さん」
「あれ、もう来たんだ。早いね」
「加藤さんに話があるんです」
「私に?」
加藤さんが首を傾げた。
ううん。この人が人を晒したりするんだろうか?
「あの、加藤さんってSNSやっています?」
「やってるよ。聞きたいことってそれ?」
糊さんが私の前に出た。
「この子が晒されているんですけど、その呟きがこの辺りで撮られたものなんです。なにか、犯人に心当たりはありませんか?」
「……さぁ?」
妙な間があったけれど、加藤さんは否定した。
「それより、晒されているって大丈夫?警察とかに相談した?」
「えっと、まだ……」
「最近はSNSだからって甘く見ない方がいいよ!犯人探し、私も力になれそうなら遠慮なく言ってね!」
協力まで申し出されてしまった。
どうしよう。
糊さんを見ると、糊さんは何かを考えているようだった。
「加藤さん、加藤さんは誰も見ていないんですよね?」
「そうだよ」
長い前髪はどこを見ているのかわからない。
「この時間帯、こんなに人通りが多いのに?」
「あっ!」
そう言われて辺りを見回す。
帰宅する人で、駅周辺のコンビニのこの辺りは人が多かった。
「こんなに人通りが多いのに、誰も見ていないっていうのはどういうことなんですか?」
「それは……」
加藤さんが言葉に詰まり俯き、そして勢いよく顔を上げた。
「とにかく!私は何も見ていない!知らないの!人を犯人みたく言うのはやめて!」
そう言って、加藤さん走って行ってしまった。
雑踏の中、すぐに紛れ込んでしまう。
「糊さん、どう思う?」
「怪しいよねぇ」
また考えるポーズ。
私も真似して考えるポーズをしてみる。
「……加藤さん、話をしたことないけど、犯人じゃないといいなぁ」
身近に犯人がいるというのはわかっているけれど、まさかバイト先にいるなんて考えたくもない。
正直しんどい。
シフトが被っていなくてよかった。
「とりあえず、今日はここまでにしてバイトに行こうか。そろそろタイムカードを押さないと」
スマホの時計を見て気付く。
「あっ、そうだね!行こうか」
同じ道を歩いてバイト先に行く。
その後ろ姿を加藤さんがじっと見ていたことには気付かなかった。




