第17話 二人だけのタイムライン
名前もIDも変えたからか、ぬい活沼さんとミルクティーさんからのフォロバはなかった。
私だって気づかないもんね。
寂しいけれど仕方がない。
「じゃあさ、しばらくは二人だけのタイムラインだね」
そう言われて胸が早鐘を打つ。
そうだよ。
私、糊さんにも彼にも片想いしてたんだよ!
それが同一人物なんて。
今更ながらなんて運命だろう。
……そういえば。
「私の姿やIDを載せた人って誰なんだろう」
ぽつりと呟いた言葉は、しっかり聞かれていたらしい。
「そこなんだよね。僕も見ていたけどさ、君の身近な人物だと思う。心当たりは?」
「ない!ないよ、こんなことする人……」
堪えていた涙が溢れ出す。
なんでこんな理不尽な目に遭わなきゃいけないんだろう。
「私、知りたい。犯人が私の身近にいるのなら、なんでこんなことしたのか聞いてみたい」
「危ないよ」
心配そうに言われるけれど、私の決意は固いんだ。
「大丈夫。今度は1人じゃないから」
精一杯笑ってみせると、彼は呆れたように笑い返してくれた。
「しょうがないな。付き合うよ、犯人探し」
「ありがとう!」
「まずは、最初に拡散された時期だよね」
彼はログを取っていたみたいで、見ながら最初のスクショを見せてくれた。
「この呟きが最初かな?君の写真が加工じゃないかって検証しているやつ」
「私、加工なんてしていない!」
「分かっているよ」
それからしばらくして面白がって便乗しているアカウントが出てきた。
ここからだ。
ひどくなったのは。
「この君の写真、もしかしたらバイトに行く途中かもしれない。ほら、このたばこ屋。近所にあるお店だ」
「本当だ……」
そこまで気が回らなかった。
「犯人は、君をつけていた。そしてこの写真を撮ってID付きで拡散した。でも、一体誰が……」
「コンビニなんて、たくさんいろんなお客様が来るしね」
「君に恨みを持つ人物は?」
「そんな心当たりがあったらとっくに突撃しているよ」
彼は笑った。
「猪突猛進だね。でも、危ないからそういうのはやめた方がいいよ」
今度は真剣な表情と声。
ドキリとしてしまう。
私、初恋の人と急接近してるんじゃない?
「顔が赤いけど大丈夫?」
「だ!大丈夫!」
「そう?」
不審気な彼の表情から誤魔化すようにスマホに目を移す。
「この角の道……。同じバイト先の女の先輩……いつも時間帯が微妙にズレているからあんまり顔を合わせないけど、その人とよく会う場所だ」
「それって加藤さん?」
「そう。多分、加藤さん」
前の私みたいに俯き気味で、いつも下を向いて歩いている。
「なら、加藤さんも誰か見たかも。今日もシフトに入っているから早めに行って尋ねてみる?」
「うん!」
光明が見えた。
「ねぇ、記念に写真一枚いい?糊さんとの二人だけのタイムライン記念日!」
「なにそれ」
笑いながらも了承してくれた。
2人で笑って、ピースサイン!
SNSには載せないけれど、この写真があれば今度はどんなことがあっても頑張れるって気がした。
「あ、私も変な形の空撮っておこう」
パシャリ。
こっちはSNSの新アカウントに載せる。
糊さんと同じ空。
「ふふふ」
「そんなに嬉しい?」
「嬉しいよ。一人じゃないって、嬉しい」
へらりと笑うと、糊さんが少し赤くなる。
「そう」
「犯人探し頑張ろー!おー!」
「おー!」
こうして、糊さんとの二人だけのタイムラインで犯人探しが始まった。




