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#二人だけのタイムライン  作者: 千子


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第12話 バイト初日

バイト初日。

説明もあるから三十分前に来てねって言われていたからちゃんと三十分前に裏口から店内に入る。

制服を渡されて、更衣室で着替えるとちょっとした説明がされた。

「じぁあ、あとは実戦で」

「えっ!?」

思わず声が出た。

もう!?もう店頭に立つの!?

店長が横についていてくれるとはいえ、緊張する。

お客さん第一号はミルクティーのペットボトルを買っていった。

ミルクティーさんを思い出して親近感。

「彼女、いつもミルクティーを買うんだよねぇ」

店長の言葉に「そうなんですか」しか返せなかった。

そのまま品物の補充や掃除の仕方も習う。

コンビニはタバコや公共料金の支払い、宅配便の受付なんかもあって多岐に渡る。

うん。思ったより忙しい。

忙しくなったら店長が変わってくれて、私はメモをしながら勉強していた。

「お疲れ様です」

「あ、お疲れ様です」

あの男子生徒だ。

「今日からだっけ?」

「そう」

和やかな雰囲気も店長の声掛けで終わってしまう。

「女の子にちょっかい掛ける前に仕事しろー!」

お客さんから笑いが起きる。

少し恥ずかしくて俯いてしまう。

「ごめんね」

そう言ってもう片方のレジに入って手早く仕事をこなしていく。

すごいなぁ。

店長も、さすがは店長。

どんどんお客さんが減っていく。

ほんの少しの時間で、混み合っていた店内からお客さんがいなくなってしまった。

「すごいです!」

「君も出来るようになるんだよ」

店長にそう言われて飴をもらった。

「もうそろそろ上がりの時間でしょう。疲れただろうから糖分。食べながら帰りなさい」

にこりと微笑まれてこちらも微笑む。

グレープ味の飴は、冷房のおかげで溶けてはいなかった。

舐めるとどこか懐かしい味がする。

裏口から出ようとすると、呼び止められた。

「ちょっと待って」

「なに?」

この男子生徒には少し身構えてしまう。

それがなんでかは分からない。

「俺からも。初バイトお疲れ様」

そう言って、コンビニで急いで買ってきたであろうお菓子を渡された。

「あ、ありがとう」

「どういたしまして。どう?バイト。辛くなかった?」

「店長も、あなたも優しくて、やっていけそう」

笑えているかな?

「それならよかった。また、シフトでね」

「うん」

手を振って別れる。

口の中の飴を転がす。

糊さんが思い出された。

なんで今、糊さんを思い出すのか分からないけれど、なんとなく似ているなって思った。

その日の晩。

「初めてのバイト、疲れたけどみんな優しそうでよかった」

そう呟くと、みんなから良かったねってリプライを貰った。

糊さんの呟きを追う。

「気になっている子が初バイトで同じシフトだから格好いいところ見せたくて頑張った」

あーあ。

盛り上がっていたテンションが一気に下がる。

糊さんの気になる子、気になる。

でも、私にはどうしようもできない。

そもそも、私は糊さんの何になりたいんだろう。

あの子も気になる。

私って、恋多き女女なんだろうか?

「気になる人が2人もいて、私って恋多き女?」

そう呟いたらミルクティーさんもぬい活沼さんも食い気味でリプライを飛ばしてきた。

そのまま恋愛トークになったけれど、初恋もまだない私には早すぎる。

大人な2人の話に赤面したり、同調したり、忙しいけれど楽しかった。

SNSは、遠いようで近い。

糊さんとも、あの子とも、遠くて近い。

私は、どうしたらいいんだろう?

そう呟いたらオンラインでの通話の誘いを受けた。

通話。

SNSを始めて数年経つけど、初めてだ。

どうしよう。

でも、ミルクティーさんとぬい活沼さんならいいかな?

私は承諾すると、今度の休みに通話をすることになった。

おすすめのアプリをインストールして、その日を待つ。

楽しみと怖さがあって、私はドキドキしながらその日を待った。

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