夜の砂漠2
夜の砂漠の夢の中
一人ぽつんと立っている
満点の星と鈍く輝く月が
大地に陰影を描く
風に舞った砂塵を吸い込んでしまい
咳き込む
音が茫漠と広がる
辺りを見回し
どこに行けばいいのだろうか
見渡す限り暗暗とした砂漠
――茫洋
裸の足に砂が食い込む
骨身に沁みる寒さに耐えているうちに
なんと臓物が次々と零れ落ちていく
体から離れた臓器は当然のようにどろどろ腐っていき
ああ ああ この体も時待たず腐り果てるのだと気がついた
ついに心臓だけがひとつ残って
崩れゆく意識をいまだに生かす
熱を帯びた心臓がぽつねんと
……
そして、
いつもの部屋で。
夜の砂漠の夢の後
私の肢体が不満をがなる
眼を瞑ってみたところでもう何も見えなく
何か
とにかく何か
触れようと伸ばした手は何一つ掴めない
そのまま引っ込めた掌の中
闇を覗き込む