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わたしと真来

「えっと、わたしが真来の知っている安莉奈だとしたらそれってどういうこと?」


 わたしは首を横に傾け考える。なんか、それってまさか。


「俺の目の前にいるアリナちゃんが安莉奈だとすると……まさかそれは」


 真来も首を横に傾げたりしながら混乱しているみたいだ。


「真来はわたしの……でもそんなことってあるの?」

「アリナちゃんは俺の……確かに似ているけど。でも、マジかよ」


 わたしと真来は……。


「まさか、お父さん!! そんなバカな〜」

「まさか、俺の安莉奈!! まさかな〜」


 と言った。


「お父さんはわたしを捨てたはずだよ。真来みたいな優しそうな人がわたしを捨てたなんて……」


「アリナちゃん、いやいや安莉奈それは誤解だよ。俺は君を捨てたりしていないよ。と言うか本当に娘の安莉奈なのかな」


 真来は首をぶんぶん振ったり顎に人差し指を当てたりしながらわたしを見る。


「捨てていない? どういうこと? っていうか真来は本当にわたしのお父さんかな?」


 疑問と真来がわたしのお父さんなのかなと頭の中がぐちゃぐちゃになりそうだよ。


「俺は安莉奈を捨てたりなんてしていないんだよ。アリナちゃん聞いてもらえるかな? いや、安莉奈ちゃん」


 真来がわたしを真っ直ぐ見つめ言った。


「うん」とわたしは答え首を力強く縦に振る。


 真来はゆっくり頷き話を始めた。


「さっきも言ったけど気がつくと俺はこのグリーン王国にいたんだよ。安莉奈のことは捨てたんじゃないんだよ」


「あ、そうだったね。真来はこのグリーン王国にバスに乗らずにやって来たんだもんね」


「ああ、俺は地球からこのグリーン王国へ一飛びでやって来たんだよ。まるで異世界へタイムワープでもした感覚なんだ」


「異世界へタイムワープ……それってびっくりしちゃうね」


「うん、もう何が何やらわからなかったからね」


「わたしだったらパニック状態になるかも」


 地球から突然グリーン王国にぽーんと一人でやって来たなんて……。


「ああ、パニック状態になったよ。動物は喋るしドラゴンみたいな生き物もいたもんな。俺は安莉奈のお母さんとは離婚したけど幼女だったアリナを捨てたりしていないんだよ」


わたしも黄色のバスに乗せられてこのグリーン王国へやって来た時はびっくりした。


 だけど、記憶も消されていたもんね。十八歳だった安莉奈ことわたしは二歳の幼女アリナとして別人になっていたんだもんね。


「あ、そういえば真来は安莉奈が何歳の頃このグリーン王国へ飛ばされたの?」


「え〜っと、たしか安莉奈が六歳の頃だったかな? もうすぐ小学一年生になる少し前だったと思うよ」


「やっぱりそうなんだ……! 安莉奈わたしが六歳の頃お父さんは姿を消したんだよ……」


「それってやはり……目の前にいる安莉奈ちゃんは俺の娘なのかな」


「わ、わたしが娘。真来はわたしのお父さん……」


 真来がわたしのお父さんだなんて信じられないけれど、もうそうだとしか思えない条件が揃ってしまった。


「君は俺の娘の安莉奈だね……。ごめんなさい。俺が異世界であるこのグリーン王国に飛ばされてしまって……」


 申し訳なさそうな表情になった真来は頭を下げた。

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