真来の気持ちを考えると
「アリナちゃんはグリーン王国が好きなんだね」
「うん、好きだよ。大好き。だって、わたしの周りにいる人達はみんな優しいんだもん。真来はそうじゃないの?」
地球の日本を彷徨っていたような真来の目がグリーン王国に戻ってきた。そして。
「グリーン王国の人達は優しくて素晴らしいよ。だけど、地球に日本に大切な人を残してきたんだ」
そう言った真来のその目は雨が降り出しそうな真冬の空のようなグレー色に見えた。
「真来……」
わたしはなんて声を掛けたらいいのかわからなかった。真来の悲しみがわたしにはわからない。だって、わたしは地球や日本に未練はないから。
「アリナちゃん、そんな悲しい顔しないで。地球に日本に帰りたいのはウソじゃないよ。帰りたくて堪らないよ。でもね、この世界も俺は好きだよ。それにここに来るとアリナちゃんの日本料理が食べられるからね」
真来はそう言ってウィンクをした。
「わたしの日本料理……」
「ああ、そうだよ。アリナちゃんの日本料理をこれからも食べに来るよ」
「わ〜い、ありがとうございます」
わたしの日本料理で悲しい気持ちが少しでも明るい気持ちに切り替わるんだとしたらうれしくて堪らない。
「アリナちゃんはやっぱり娘に似ているな」
真来はそう言って頬を緩めた。
「ん? そんなにわたし娘さんに似てるの?」
日本にわたしと似ている女の子がいる。一度会ってみたかったな。地球に日本に未練がないと思っていたけど自分と似た女の子には興味がある。
もし、日本でその女の子と出会えていたら友達になっていたかな。地球に日本に未練があったかな。そんな妄想をしているとワクワクしてきた。
「アリナちゃん。なんだか楽しそうだね。俺の娘もそんな可愛らしい表情をしていたな」
真来は目を細め幸せそうだけど、どこか悲しげに見える……そんな表情になった。どうしたのかなの?
わたしは、ふとその娘さんは何歳くらいなのかな? と思った。
「ねえ、真来の娘さんは幼女なのかな? わたしと同じくらいかな」とわたしは聞いてみた。
「うん、幼女だよ。いや、違うかな。今は大人になっているかな?」
真来は首を横に傾け顎に親指と人差し指を当て考えながらに答えた。
「へ!? それってもう長い間娘さんに会えていないってことなの?」
「ああ、そうなんだよ。娘は今も地球に日本にいるんだよ」
真来のその表情が哀しみに歪んだ。
「真来……」
どうすれば真来を励ますことが出来るんだろう。その娘さんに会わせてあげたい。
「アリナちゃん、そんな悲しそうな顔をしないで」
「だって、真来が娘さんに会えないことを思うと悲しくなってしまうんだもん」
わたしはこの世界でお父さんやお母さんにそれから優しい人達に囲まれ幸せになったからいいけれど、真来はこの世界で孤独なのかな? もしそうだったらと考えると胸が痛くなる。
「ねえ、真来わたし娘さんの代わりになれないけど友達になれるよ」
「アリナちゃんは優しい子だね」
真来は嬉しそうに頬を緩めた。
「そうかな? だって、地球出身の仲間が悲しそうにしている顔なんて見ていられないもん。あ、幼女なわたしじゃ友達になれないかな?」
わたしがえへへと頭をぽりぽりと掻きながらそう言うと真来は、「そんなことないよ。アリナちゃんありがとう。アリナちゃん俺の友達になってくれるんだね」と微笑みを浮かべた。
「うん、もちろんだよ。真来は今からわたしの友達だよ」
わたしはとびっきりの笑顔を浮かべた。
「ありがとうアリナちゃん。俺にこんなにも可愛らしい友達ができたなんてな」
真来は満面の笑みを浮かべた。その笑顔はやっぱりちょっと懐かしく感じた。
わたしに新しい大人の友達ができた。
「真来」と言いながらわたしは手を差し出した




