黄色のバスを知らない
「俺はこのグリーン王国の出身じゃないんだ……」
「他国から来たの?」
「それもちょっと違うんだよ」
「ん? 違うの」
「ああ、違うんだよ……」
真来は、キョロキョロと周りを見る。そして、わたしと食いしん坊なもふもふしか近くにいないことを確認し話し始めた。
「俺はねアリナちゃん。この世界と全く別の世界から来たんだ……と言っても理解出来ないよね?」
真来は眉間に皺を寄せ笑う。
「わたし、わかるよ」
「えっ!? わかるの。絵本とかの物語の話しではないよ」
「うん、それもわかるよ。でも、それって真来は神様に無理矢理このグリーン王国に連れて来られたってことなの? バスに乗ったの?」
わたしと同じように黄色のバスに乗せられたのかな? と考える。
「神様? バス? 無理矢理とはなんだ」
「え? 違うの?」
わたしはきょとんとして尋ねた。
「ああ、無理矢理といえばそうだがバスも神様も知らないな」
「じゃあ、真来はどうやってこのグリーン王国に辿り着いたの?」
わたしは日本人っぽい顔の真来をじーっと見る。そんな真来を眺めていると、やっぱり懐かしさが込み上げてきそうになる。それは真来が日本人っぽい顔立ちをしているからなのかな。他にも理由があるような気もしてくる。
「うん、それはね……気がつくとこのグリーン王国にいたんだよ。俺は、この世界とは全く別の世界である地球という惑星に住んでいたんだよ」
「ち、地球!!」とわたしは思わず大きな声を出してしまった。
真来が地球と言ったことに違和感はない。だって、真来のその顔は日本人っぽい顔立ちなんだもん。
「アリナちゃんやっぱりびっくりするよね。地球なんてわけわかんないよな」
真来は、わたしが地球を知らなくてびっくりしていると思っているんだ。
言っていいのかなと迷ったけれど、わたしは、「ううん、わたしは地球を知っているよ。そ、それにわたしも地球出身だもん」と言った。
「え!!」
真来は目を大きく見開いた。
「それって……アリナちゃんも地球人ということなのかい?」
「う、うん。そうだよ。地球人だよ。わたし日本に住んでいたの」
「え!! 日本人にしては西洋人ぽい顔をしているね」
「あ、それには色々あってね。わたし地球の日本人だったはずなんだけど、神様にこのグリーン王国の幼女アリナにされちゃったんだよ。日本の記憶も曖昧なんだ」
わたしはえへへと笑いながら答えた。
「そうなんだね……。俺は地球の日本の記憶を忘れていないよ。懐かしいな」
真来は地球に日本に思いを馳せているような目になっている。
わたしは真来が羨ましいなと思うのと同時にはっきり記憶が残っているのに地球に帰れないなんて悲しいのかなとも考えた。
「ねえ、真来は地球に日本に帰りたいの?」
「ああ、グリーン王国は素晴らしい世界だけど、地球に日本に帰りたくて堪らないよ」
真来の表情は哀しげだった。
「そっか……」
「アリナちゃんも地球に戻りたいかい?」
「ううん、わたしはグリーン王国にいたいな」
そう、だって、わたしは地球に日本に未練はない。意地悪なイトコの富菜ちゃんに会いたくないし、叔母さんや叔父さんにも会いたくない。
それにグリーン王国にはわたしを愛してくれる人達がいるんだもん。




