本日わたしアリナは六歳になりました
「うふふ。これで、わたしのティータイムは楽しくなるよ」
わたしは、ナットーがプレゼントしてくれたティーカップとサナがプレゼントしてくれたお皿を交互に眺め顔を緩めた。
このモフにゃー似のティーカップにローズティーやカモミールティーにペパーミントティーにそれから。
ああ、もう想像しただけで幸せな気持ちになる。
ローズティーのバラの香りがわたしを柔らかくふんわりと包み込んでくれる。カモミールティーのリンゴのような甘い香りがわたしを癒やしてくれる。そして、ペパーミントティーの清涼感たっぷりな爽やかな香りで気分がスッキリする。
ああ、もうわたしは心地よい香りに包まれちゃう。
そして、このモフにゃー似のお皿に大好きなアップルパイやそれから。
大変だ。大好きなお菓子を想像すると今にもヨダレがぽたぽたと垂れてしまいそうになる。
「アリナちゃん。お顔が……」
「アリナちゃんのお顔が大変だにゃん!」
「えっ?」
みんなの視線がわたしに集まっている。わたしってばお菓子のことで頭がいっぱいになっていた。
「可愛いアリナよ……」
「なあにお父さん?」
わたしは首を横に傾げる。
「アリナよ。その表情はとっても可愛らしいのだが……」
お父さんはわたしの口元を凝視しているような気がする。
「ん? なあに」
これはなんだか嫌な予感がするよ。
「アリナよ。言いにくいのだが……ヨダレが垂れているぞ」
「へ!? ヨダレが……ってウソ〜」
「ウソではない真実だよ」
「そ、そんな〜うわぁ~六歳の誕生日なのに」
わたしってばバカだ。お誕生日にヨダレを垂らすなんて情けないよ。バカバカアリナのおバカ、わたしは手をグーにして自分の頭をぽんぽん叩く。
「アリナよ、気にするなよ」
お父さんは目を細めわたしを見ているけれど、ちょっと恥ずかしいよ。
「わたしの六歳の誕生日なのに……気にするなと言われても気にしちゃうよ」
でも、これが地球時代の安莉奈の姿であれば目も当てられない。六歳のアリナでまだ良かった。と、思うことにしよう。
「アリナは本当に可愛いな。俺の自慢の娘だぞ」
「ありがとう。お父さん」
血は繋がっていないけれど、わたしのお父さんはこのお父さんだけだ。それと、お母さんもね。
わたしをニコニコ笑顔で見つめるお父さんとその隣で柔らかい微笑みを浮かべているお母さんに出会えて良かったと思える誕生日だった。
それと、この世界で出会えたみんなのことが大好きだよ。わたしはみんなの顔をぐるりと見回す。
そして、「わたしアリナは本日六歳になりました」と言って両手でピースをした。
たくさんのプレゼントとグリーン王国の仲間に囲まれわたしは幸せです。




