タイゾーおじいさんからのプレゼントとギャップちゃん
ほっこり優しげなおじいちゃん柄の紙袋はタイゾーおじいさんからのプレゼントだった。その優しげな絵柄はタイゾーおじいさん本人に似ている。この紙袋の中身はなんだろうと想像すると楽しくなる。
アリナは幼女だからお菓子だったりして。なんてことを考えながらワクワクしながら紙袋を開けた。
「わっ、これは」
「どうだいアリナちゃん気に入ってくれたかい?」
「とっても気に入ったよ。タイゾーおじいさんありがとう」
わたしは、大根柄のポーチを手に取りにっこりと笑った。
「良かった。アリナちゃんは大根好きだと思ってな」
タイゾーおじいさんはそう言って豪快に笑う。
「え? わたし大根好きだったかな。大根のおでんとか大好きだけどね」
わたしは、だしの染み込んだおでんを思い浮かべるとほくほくほっこりと幸せな気持ちになった。冬の寒い日に食べた大根のおでん最高だったな。
うふふと、笑いながら大根柄のポーチに目を落としていたその時。
「大根好きはこの俺だぞ。ガォー」とギャップがニンマリと笑い口を大きく開けた。だから、チビッコサイズでも怖いんだってば。
「大根の丸呑みしたいぞ」
ギャップはわたしが手にしている大根柄のポーチをじっと見ているじゃない。
「ギャップちゃん。これは大根じゃないよ。ポーチだからね」
「うむ。大根じゃないとはそれはとても残念だぞ」
ギャップはつまらなさそうに呟いた。
「あはは、ギャップちゃんは愉快なライオン魔獣鳥だな。本物の大根もお土産として持ってきているぞ」
タイゾーおじいさんはそう言ったかと思うと、ジャーンと紙袋から大根を取り出し「大根だぞ」と言ってニカッと豪快に笑った。
「おっ、大根だ。よし、俺は大根の丸呑みにチャレンジするぞ」
ギャップはタイゾーおじいさんが持っている大根をじーっと興味津々な眼差しで見ている。
「ほれ、ギャップちゃん、お食べ」
タイゾーおじいさんはギャップの目の前に大根を置いた。それを見たギャップは、目をギラギラと輝かせ大根をガシッと手に取った。
そんなギャップにみんなの視線が集まる。
ああ、わたしの誕生日パーティーがギャップの大根丸呑みパーティーになりそうです。
「いただきま〜す。俺は大根の丸呑みをするぞ」
ギャップは手に持っている大根を口に運ぶと、一気に大根をガブッと丸呑みした。
それを見ていたわたしを含めたみんなが「わっ!!」とほぼ同時に声を上げた。
だって、大きな大根がみるみるうちにギャップの口の中に消えたのだから。これはもう驚くしかないのだ。
「美味しい、これは最高の味だぞ」
ギャップは満面の笑みを浮かべ舌舐めずりをした。そして、じっと見ているわたし達に気づき首を傾げた。
「ん? 俺のカッコいい顔に見惚れているのかな?」
ギャップはガハハと自信満々な表情で笑った。
「ギャップちゃんが、大根の丸呑みなんてするからびっくりしたんだよ」
「そんなにびっくりするものかな? 俺の本来の食べ方はこれだぜ」
ギャップは胸を張り得意げだ。
「だって、あんなに大きな大根がみるみるうちにギャップちゃんのお腹の中に消えるなんてびっくりするよ」
「ふふん! アリナちゃん俺を誰だと思っているんだい」
ギャップは自信に満ちあふれた顔でわたしを見る。
「誰だって? ギャップちゃんでしょ?」
わたしは変なことを聞くなと思いながらギャップを見つめ返し答える。
すると、ギャップはなぜだか残念そうな表情になり「もちろん俺はギャップだよ。それともう一つ大切なことを忘れていないかい?」と真面目な表情でわたしをじーっと見つめる。
「ん? もう一つ大切なことってなんだろう」
わたしは首を横に傾げた。
「だから、俺がライオン魔獣鳥だってことだよ」
ギャップは当然だろうという顔をした。
「あ、なんだ、ライオン魔獣鳥ってことだね」
「なんだとはなんだ」
ギャップはわたしのことを困った奴だなという顔で見る。
「ほらほら、ギャップちゃん。君が凄いことはわかったが今はアリナちゃんのプレゼント開封時間だぞ」
タイゾーおじいさんがプレゼント開封タイムに引き戻してくれた。
「むむっ、仕方あるまい。アリナちゃんよ、プレゼントの開封タイムを続けるんだな」
ギャップはちょっと納得いかない様子ではあるけれど、わたしのプレゼント開封タイムを了承した。
「ギャップちゃんありがとう。では、引き続きプレゼントを開けていくよ〜」
わたしは笑顔を浮かべ大根柄のポーチをアクアお兄ちゃんがプレゼントしてくれたアクアマリン色の手提げカバンの中に仕舞う。
そして、お次は。っと、その前に、ストロベリーナお姉ちゃんがプレゼントしてくれたいちご柄の手鏡を大根柄のポーチに入れた。
それでは、カーナさんのプレゼントを開封します。わたしはにっこりと笑いカーナさんからのプレゼントを手に取った。
えへへ、中身が楽しみです。




