プレゼントだよ
カーナさんのそんな表情を見ると、わたしも地球が懐かしく思えてきた。けれど、わたしの居場所はやっぱりこのグリーン王国だ。
だって、お父さんとお母さんにそれからみんながいるんだもんね。なんて、うふふと笑みをこぼしていると、
「アリナちゃん誕生日プレゼントだよ」とストロベリーナお姉ちゃんが言った。
「へ! 誕生日プレゼント」
わたしは思わず間の抜けた声を出してしまった。
「へっじゃないだろう。今日はアリナちゃんの誕生日なんだからな」
アクアお兄ちゃんがちょっと呆れた声を出す。
みんなも首を縦に振る。
「そうよ、改めてアリナちゃんお誕生日おめでとう」
ストロベリーナお姉ちゃんが可愛らしい猫柄のラッピングペーパーに包まれたプレゼントをわたしに差し出した。
「あ、ありがとう。ストロベリーナお姉ちゃん」
わたしは嬉しくてたまらなかった。
続いてアクアお兄ちゃんがシンプルなピンクのラッピングペーパーに包まれたプレゼントを差し出した。
「わしからもプレゼントがあるぞ」
「わたしもプレゼントを用意したわよ」
タイゾーおじいさんはおじいちゃん柄の紙袋をわたしに差し出し、カーナさんはチューリップ柄の紙袋をわたしに差し出した。
「わっ、みんなありがとう〜」
わたしは、プレゼントをぎゅっとする。
「アリナちゃん、わたしからもプレゼントにゃん」
「アリナちゃん、俺からもプレゼントがあるぞ」
もふもふな二匹は食べかすがくっついている顔に笑みを浮かべた。
「わっ、モフにゃーギャップちゃんありがとう」
モフにゃーとギャップからのプレゼントは、それぞれ猫柄とライオン魔獣鳥柄のイラスト入りの紙袋だった。しかもちょっと下手くそなところがまた可愛らしいのだ。きっと、心を込めて描いてくれたんだろうな。
「うふふ、可愛らしいイラストだね」
わたしの顔はほっこり綻ぶ。
「アリナ、みんなからプレゼントをもらえて良かったな」
「アリナは幸せ者ね」
お父さんとお母さんが誕生日パーティー参加者の顔を順番に眺めそれからわたしに視線を移し柔らかい笑みを浮かべた。
そして、「じゃ〜ん!」と声を合わせて言ったかと思うと、人間の幼女サイズくらいの巨大な猫のぬいぐるみがわたしの目の前にいる。お父さんとお母さんが置いたんだけどね。
「ね、猫ちゃんのぬいぐるみ可愛い」
わたしはその猫のぬいぐるみをぎゅっと抱きしめた。もふもふふかふかで触り心地が良い。
「あ、アリナちゃんってばわたしがいるのに猫ちゃんをぎゅっとしているにゃん」
その声に目を向けるとモフにゃーは口を尖らせていた。なんだか拗ねているみたいでその顔もとってもチャーミングだ。
「モフにゃーもこの猫ちゃんに負けないくらい可愛いよ〜」
わたしは猫のぬいぐるみをぎゅっとしながら右手をちょこんと上げこっちへおいでとモフにゃーに手招をした。
すると、モフにゃーはにゃぱっと笑った。
「にゃはは、ぬいぐるみの猫ちゃんも触り心地がいいにゃん」
モフにゃーはわたしとは反対側から猫のぬいぐるみをぎゅっとした。
「ねっ、この子気持ちいいでしょ」
「うん、わたしのもふもふにゃんの毛並みには負けるけどにゃんね」
あはは、モフにゃーは負けず嫌いの性格なんだよね。それがまた可愛らしいんだよね。
「一緒に猫ちゃんのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめると幸せが二倍だね」
「うん、二倍だにゃん」
わたしとモフにゃーはしばらくの間猫のぬいぐるみをぎゅっと抱きしめ続けた。
そんなわたしとモフにゃーをみんなが温かく見守ってくれた。温かくて優しい空気に包まれたわたしは、ぬいぐるみの猫に顔を埋め頬を緩めた。
なんて、幸せなんだろう。えへへ、うふふ。なんて、幸せを満喫し笑っていたわたしに「お〜い、アリナちゃんもふもふタイムもいいけど、俺からも誕生日プレゼントだよ」とナットーが言った。
「あ、ありがとう」
「はい、どうぞ」とナットーがシンプルな紺色の紙袋を差し出した。




