食器をモフにゃーと洗います
それから待つこと三十分。やっとお客さんがチラホラとやって来た。
お客さんは様々で、近所の人から冒険者にそれから人型と他の動物の外見を持ち合わせる獣人などだ。
「モフにゃーわたし食器を洗いまくるぞ〜」
「頑張ってアリナちゃん。わたしは拭き拭きしまくるにゃ〜ん」
洗い場の前でわたしとモフにゃーは気合いを入れる。
「アリナ、お待たせ〜食器洗いをお願いね」
お母さんが下げ台に食器やグラスなどを置く。
「は〜い! 了解〜」とわたしは元気よく返事をする。
そして、わたしは下げ台から手際よくシンクにどんどん食器を下げる。
因みにこの世界には食洗機は存在しない。なので魔道具の水道を使い食器は手洗いだ。
繁盛店だったら大変かもしれないけれど、ここは流行らないカフェ食堂なので問題ない。
あ、お父さん、お母さん流行らないカフェ食堂なんて言ってしまいごめんなさい。
きっと、いつかお客さんが溢れかえるカフェ食堂になるはずだ。
わたしはバシャバシャゴシゴシ食器を洗う。それをモフにゃーが拭き拭きする。
バシャバシャゴシゴシと食器を洗う作業は好きだ。だって、汚れたものが綺麗になっていくんだもんね。
このカフェ食堂『ほのぼのにこにこカフェ食堂』がみんなから美味しいよと笑顔になってもらえますようにと願いを込めながらわたしは洗い物をした。
「綺麗になったお皿は気持ちいいにゃん」
わたしがバシャバシャゴシゴシ洗った食器類を丁寧に拭き拭きしていたモフにゃーだったんだけど、いつの間にか浅めのお皿にミルクを入れそれをペロペロにゃんと舐めていた。
「もう、モフにゃーってばお皿を綺麗に舐め舐めしているんだから〜」
なんて文句を言いつつ可愛らしいモフにゃーにわたしはメロメロだ。ああ、この猫愛が止まらないよ。って言うか猫聖獣愛かな。
ううっ。わたしは愛猫家もとい愛猫聖獣家だ。
「うにゃん? アリナちゃんどうしたにゃん」
お皿から顔を上げたモフにゃーがわたしの顔をじっと見る。そのお口の周りとおヒゲにミルクがべったりくっついている。
ああ、キュートだよ。
「ねえ、アリナちゃんどうしたにゃん?」
モフにゃーはきょとん顔で首を横に傾げる。しかも口から長めの牙がちょこんと飛び出している。
その可愛さは反則だよ。
「モフにゃーズルいよ」
「うにゃん?」
「もう! うにゃんじゃないよ。早く洗い物しようよ」
わたしはほっぺたをぷくっと膨らませぷりぷり怒ってみせる。
「アリナちゃん洗い物は空っぽにゃんだよ」
「へ?」
シンクの中に目を落とすと洗い物がない。全部洗ってしまったんだ。
「お父さん、お母さん早く食器を持ってきて〜」
なんて毎日賑やかにお仕事をしているわたしとモフにゃーだった。