おにぎりを握るよ
「アリナちゃんどうしたにゃん?」
「なんか気合いの入った顔をしているな」
「あのね、わたしおにぎりを握ろうかな~って思っているんだ」
わたしはニンマリと笑ってみせた。
「にゃんと! アリナちゃんがおにぎりを握るの?」
「ほぅ。アリナちゃんがかい?」
モフにゃーとギャップは目を丸くしてわたしを見る。
「あ、なんか驚きすぎで失礼じゃない」
「だって、アリナちゃん料理苦手ぽいもんにゃん」
「魔法で作った料理しか見たことないからな」
まあ、それはごもっともだけど、なんかやっぱり失礼だよ。わたしはぷくっと頬を膨らませる。
「おにぎりを握るのはわたしだけじゃないよ」
「んにゃん?」
「は?」
「君達も握るんだよ」
わたしは、モフにゃーとギャップをピシッと指差し言った。
「わたしもにゃん!?」
「俺もかい!?」
二匹はきょとんとしてわたしを見る。
「うん、みんなでおにぎりパーティだよ」
わたしは、腰に手を当て「えっへん」と胸を大きく張る。
そんなわたしをモフにゃーとギャップがぽかーんとした顔で見ている。
わたしは、イメージの中で炊飯器の蓋をパカッと開けた。ふっくらしたごはんが炊き上がっている。うわぁーもうこれだけでヨダレが溢れそうになる。
そして、今、わたしの目の前に炊飯器がある。実際にその炊飯器の蓋をパカッと開けてみると、炊き立ての白いごはんが出来上がっていた。
「わ~い! ごはんだよ」
「ごはんだにゃん」
「ん? その機械はなんだろう?」
わたしはニンマリ笑い、モフにゃーはバンザイをしている。それと、ギャップは炊飯器を食い入るように見ている。
「さてさて、炊き上がっているよ」と言いながらわたしは、しゃもじを手に取りごはんをかき混ぜた。
「美味しそうだにゃん」
モフにゃーが炊飯器に近づき鼻をクンクンさせごはんの匂いを嗅ぐ。
「モフにゃーまだ食べちゃダメだからね」
「了解だにゃん」
モフにゃーはちょっと残念そうに炊飯器に伸ばしていた肉球のある手を引っ込めた。
一方ギャップはまだ不思議そうに首を横に傾げていた。
テーブルに視線を向けるとおにぎりを握るために必要なラップ、具材、海苔、塩、お茶碗などが並んでいた。
「凄い!!」とわたしは思わず呟いてしまった。
「お、美味しそうだにゃん」
「こら、モフにゃー食べちゃダメだよ!」
おにぎりの具材に目を輝かせるモフにゃーにわたしは注意をする。
「ホッホッ! 可愛いアリナの六歳のバースディ料理が完成したぞ。おっと、アリナ達は何をしているんだ?」
お盆に料理を載せパタパタとこちらにやって来たお父さんがそう言って、炊飯器とテーブルにあるおにぎりの具材などを不思議そうに眺めた。
「えへへ、みんなでおにぎりを作ろうかなと思ったんだよ」
「おにぎりとは?」
「ごはんを三角形とかいろんな形に握って海苔で包むんだよ。と~っても美味しいよ」
「ほぅ、それは珍しい食べ物だな」
お父さんはおにぎりの材料と炊飯器をまじまじと見つめている。地球の日本人だったら老若男女誰でも知っている料理なんだけどね。それにきっと、みんな思い出があるはずだ。
「お父さん……」
「ん? なんだ、アリナ?」
「おにぎりを一緒に作って楽しい思い出を作ろうね」
「そのおにぎりとやらで思い出をかい?」
「うん、そうだよ」
おにぎりで安莉奈時代に良き思い出がなかったわたしだけど、アリナとして良い思い出をみんなと作りたい。
「そうか、アリナよ。お父さんとた~くさん思い出を作ろうな」
「うん、お父さん」
わたしはにっこり笑いこのグリーン王国にいるみんなとだったら楽しいおにぎりタイム&誕生日パーティになるはずだと思った。




