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ギャップが怒っている

ギャップが怒っているそれは果たして


 家に戻るとギャップがぶうたれていた。


「アリナちゃんとモフにゃー主はこのライオン魔獣鳥である俺を置いてどこに行ってたんだよ」


ギャップはブツブツと文句を言う。


「わたしのお誕生日カードを配達してもらうため郵便屋さんに行ってたんだよ」


「郵便屋さんだにゃん」


「なぬ! 郵便屋さんだと」

「うん、郵便屋さんだよ。モフにゃーと一緒にお誕生日の招待状を作ったんだ。だから配達してもらったの」

「な、なぬぬ! お誕生日の招待状だと。このライオン魔獣鳥の俺を誘わずかよ~」


ギャップはほっぺたをぷくぷくぷくっと膨らませた。かなり気に入らないらしい。


「にゃははにゃん。ギャップちゃんのほっぺたが風船みたいになってるにゃ~ん」


モフにゃーは肉球のある手をパンパン叩き笑った。


「モ、モフにゃー主……なんてことを言うんだ」


ギャップの顔は真っ赤になり怒りに燃えた。



「風船だにゃん。ツンツンしてみようにゃん」


モフにゃーはにゃぱにゃぱ笑いながら、怒りに燃え上がり真っ赤なほっぺたを膨らませているギャップに近づいた。


「ツンツンにゃん。ツンツンにゃんにゃん」


怖いもの知らずのモフにゃーは真っ赤な風船に可愛らしい手を伸ばしツンツンする。あ、真っ赤な風船じゃない。ギャップのほっぺただった。


「も、も、も、も、も、も、」

「んにゃん? も、もってなんだにゃん?」

「も、も、もふ」

「もふ?」


 モフにゃーは首を横に傾げた。


「も、も、も、モフにゃー主のことだよ」

「あ、わたしのことにゃん」

「モフにゃー主はふざけているのかい?」

「わたしはいつでも真面目だにゃん」


  もふニャーは得意げに胸を張る。


「ふん! このライオン魔獣鳥をバカにして。よし、巨大化しようかな」


「わっ!! ギャップちゃん、巨大化はやめて。お家が壊れてしまうよ」


わたしは慌ててギャップを止めようとした。


「ふん! モフにゃー主が悪いんだ。それにアリナちゃんもな」


ギャップは拗ねたように口を尖らせた。


「え!? 何故? わたしも悪い子なのかな?」


わたしはきょとん顔になった。


「ああ、アリナちゃんも悪い子だよ……」


ギャップはそう答え膨れっ面になる。


「どうして?」とわたしは首を傾げる。


「……それはだな。このライオン魔獣鳥である俺を除け者にしたよな」


ギャップはわたしとモフにゃーの顔を交互に見た。その目はから怒りと寂しさが溢れていた。


「除け者ってそんな……」

「除け者にゃん?」


わたしともふニャーがほぼ同時に尋ねる。


「そうだよ。俺をアリナちゃんの誕生日カードの作成に参加させてくれなかったじゃないか……」


ギャップはちょっと悔しそうに口をギュッと噛んだ。


「え!? だって、ギャップちゃんお家にいなかったよね」

「そうだにゃん。ギャップちゃん何処に行ってたのにゃん?」


「俺がお出かけ中だったら待ってくれていてもよかったではないのか」


ギャップは膨れっ面でわたし達をじっと見る。


「ギャップちゃんごめんね。わたしのお誕生日カードを一緒に作成したかったのね」


わたしは、ギャップのことを大切な仲間だと思っている。それなのにギャップの気持ちに気づかなかったなんてダメな子だね。


「そっかにゃん。わたしもごめんにゃん」


「わ、わかってくれたらいいんだよ。俺はモフにゃー主とアリナちゃんのことをた、た、大切な存在だと思っているんだ」


ギャップはちょっと照れ臭そうに頭をぽりぽり掻きながら言った。


「わたしもギャップちゃんのことを大切な存在だと思っているよ。これからはいろんなことを一緒にしようね」


わたしはギャップの目を真っ直ぐ見て言った。


「わたしもギャップちゃんのことを大切な友達だと思っているにゃん」


モフにゃーもギャップを真っ直ぐ見つめている。


「アリナちゃんにモフにゃー主ありがとう」


嬉しそうに笑うギャップが可愛らしいなと思った。



「ねえ、ギャップちゃんは何処へ出かけていたの?」

「何処へ行ってたにゃん?」

「教えてほしいかい?」

「うん」

「教えてにゃん」


わたしとモフにゃーが教えてと返事をすると、ギャップは得意げに微笑みを浮かべた。


「ふふん、そんなに教えてほしいのか。では、教えてやろうではないか」


ギャップはなんだか偉そうなニンマリ笑顔だ。


「ギャップちゃんって偉そうだにゃん」

「わたしもそう思ったよ」


わたしとモフにゃーは顔を近づけ言い合う。ギャップは、わたし達の話しに気づいていないみたいだ。


「俺は、川に行っていたんだよ。それで、美味しそうな魚が泳いでいたのさ。その川に俺はザッブーンと飛び込んだのさ」


ああ、この話の続きは聞きたくないよ。


聞きたくないのにギャップは誇らしげにこう言ったのだ。


「そして、俺は獲物を仕留めた。それで、俺は魚という獲物を丸呑みしたってことだよ。あはは!!」


ああ、やっぱりだよね。ギャップちゃんらしいと言えばそうなんだけどね。


まだまだギャップが魚の丸呑みを得意げに語ろうとするので、わたしはこのままでマズイと思った。


「ねえ、ギャップちゃん」

「ん? 何だ? アリナちゃんも魚の丸呑みをしたくなったのかい」


ギャップはそれはもう嬉しそうに目を輝かせた。


「ギャップちゃんってば違うよ。アクアお兄ちゃんとストロベリーナお姉ちゃんにお誕生日の招待状を一緒に届けに行きたいなと思ったんだよ」


「な、なんと、アリナちゃんは俺を誘ってくれたのかい」


ギャップの目はキラキラキラキラ輝く。そんなに喜んでもらえるなんてびっくりした。


「うん、ギャップちゃんを配達に誘っているんだよ」


わたしはにっこり笑う。


「やったぜ、俺も配達仲間だぜ」


ギャップはガォーと吠えた。ああ、だから吠えないでよ。怖いんだからね。

ギャップはアリナやモフにゃーに仲間外れにされたと思い拗ねていました。これからアリナとモフにゃーと仲良くできますように。

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