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もうすぐアリナの誕生日


 今日の夕食はスープとパンにリンゴだった。


「アリナ帰って来たのね。お父さんがアリナはどこへ行った。アリナはどこへとうるさかったのよ」


お母さんがお父さんを可笑しそうに見て笑いそれから視線をわたしに移す。


「あはは、お父さんっていつも大袈裟だもんね。お隣の食堂に行くって言って出かけたのに」


「大袈裟なものか。アリナに何かあってからでは遅いじゃないか」


お父さんは口を尖らせわたしを見る。


「もうお父さんって本当に過保護なんだから~」


「そうよ。アリナはこれからどんどん大人になっていくのよ」


お母さんは呆れたように笑う。


「アリナよ。まだまだ幼女のままでいてくれよ。お父さんのアリナのままでいてほしいぞ」


お父さんは真剣な眼差しでわたしをじーっと見る。


「わたし早く大人になりたいな~」

「ア、アリナよ。待ってくれ」

「なんてね。わたしまだまだ子供のままでいたいよ」


それは本当の気持ちでもあった。だって、安莉奈時代に味わえなかった幸せを満喫したい。子供時代もたくさんの愛がほしい。


そうすると、大人になったその時人に愛を与えることができるかもしれないもんね。



「アリナ明後日は六歳のお誕生日ね」


お母さんがにっこりと笑いわたしを見た。


「あ、うん。忘れていたよ」

「うふふ、お誕生日パーティをしましょうね。アリナの好物を作るわよ」

「わ~い! 嬉しいよ」


わたしはバンザイをする。


なぜだか、リンゴにかぶりついているモフにゃーとリンゴを丸呑み中のギャップもバンザイをしている。


「そうか……アリナの誕生日はお父さんも嬉しいぞ。ただ、さっきも言ったが少し寂しくもあるな」


「あらあら、お父さんそんなこと言わないでアリナの誕生日を喜びましょうよ。どんどん大きくなりきっと、いつか美しい女性になるわ」


「まあ、それもそうだな」


「もう、まだ納得いかない顔しているんだから。あ、そうだわ。アリナお誕生日会に招待したいお友達がいたら言ってね」


「うん、ありがとう。お母さん」


お友達か。このグリーン王国に共に召還され再開したみんなとアクアお兄ちゃんとストロベリーナお姉ちゃんを招待したいな。


「アリナちゃん何を書いているのにゃん?」

「えへへ、お誕生日会の招待状だよ」


わたしは、ペンをキュキュと動かしながら答えた。


「アリナちゃんのお誕生日会の招待状なんだにゃん。わたしもお手伝いするにゃん」


「わ~い! モフにゃーお手伝いしてくれるんだね」


わたしはにっこり笑いモフにゃーにペンとハガキサイズの紙のカードを渡す。


「にゃはは、お誕生日会カードをかきかきするにゃ~ん」


もふにゃーは口元を緩めそれはもう嬉しそうに肉球のあるその手でペンのキャップを外した。


わたしとモフにゃーは並んでお誕生日会カード作りを楽しんだ。


『アリナの六歳のお誕生日会にご招待』とピンク色のペンと水色のペンで書いた。


その下にわたしアリナが誕生日ケーキを前に喜ぶイラストを描く。それからわたしの右隣にモフにゃーと左隣にギャップを描く。


「わ~い! 可愛らしいお誕生日会の招待状が完成したよ」


「わたし頑張ったにゃ~ん」


わたしとモフにゃーは手を取り合い喜んだ。

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