みんなに会えて良かった
「神様は帰ったね」
「あの神の住みかは何処なんだろう?」
「もう少しナデナデしてもらいたかったにゃん」
「ワシ頭なんて撫でられたのいつぶりじゃろうか?」
「なんだか幸せな気持ちになったわ」
「このグリーン王国に神様って存在していたんだな」
「ちょっと個性的な神様だったわね」
わたし達は神様が消えた空間を眺め口々に言った。
あんな神様ではあるけれど、神様はやっぱり威厳があるのかな。ヒラヒラな変な布に身を包んでいるけれど。
神様が帰った後もわたしたちはアクアお兄ちゃんとストロベリーナお姉ちゃんの食堂で楽しい時間を過ごした。
タイゾーおじいさんとカーナさんと再会できたこともとても嬉しかった。
「今度、ワシ達の畑に来てくれよ」
「新鮮な野菜をたっぷり食べることができるわよ」
タイゾーおじいさんとカーナさんは柔らかい笑みを浮かべわたし達に言った。
「はい、わたしお野菜大好きなのでお邪魔するね」
「にゃはは、わたしもお野菜大好きだにゃん。真っ赤な艶々なトマトにかぶりつこうかにゃん。うにゃ~もう想像しただけで口の中がトマトの酸味と甘味がジュワーッと広がって幸せだにゃん」
もふにゃーはとても幸せそうな表情になっている。しかもヨダレも垂らしていた。
「俺は大根の丸呑みでもしようかな」
なんてギャップは恐ろしいことを言う。
「ああ、大根のみずみずしい辛みと甘味が口の中いっぱいに広がり幸せだな~」
ギャップは幸せそうな表情でガオッと笑う。ああ、もう怖いのか可愛いのかわからなくなってきた。
そんなわたし達を眺めるタイゾーおじいさんとカーナさんは頬を緩めている。
「タイゾーおじいさんとカーナさん帰っちゃったね」
「うん、ちょっと寂しいにゃんね」
「今度、二人の畑に大根の丸呑みに行けばいいんだよ」
「もう、ギャップちゃんってば可愛い姿で丸呑みなんて言わないでよ」
「な、なぬ。俺はかっこいいライオン魔獣鳥だぞ」
ギャップはちまっとした姿で胸を張る。貫禄ないことに気づいていないんだね。可笑しくて笑ってしまう。
「わたしも大根の丸呑みに挑戦しようかなにゃん」
「モフにゃーのお口で大根の丸呑みなんて出来ないよ。もう、ギャップちゃん、モフにゃーが真似したらどうするのよ」
わたしはギャップを睨みながら言った。
「あはは、これは失礼したな」
「気をつけてね」
なんて、会話をしているわたし達にアクアお兄ちゃんとストロベリーナお姉ちゃんが、「ギャップちゃんの大根丸呑み見てみたいな」と声を合わせて言うんだから呆れちゃう。
お家に帰ると、「アリナ~心配していたぞ~」とお父さんがダダーッと廊下を走りこちらに向かってきた。
「お父さん、ただいま〜」
わたしはにっこり笑い挨拶をする。
「もう黄昏時だぞ。お父さんはアリナが帰って来ないので心配で心配で心配でを何十回も繰り返し言ったんだぞ」
お父さんは、泣きそうな顔になりながらそう言ったかと思うとわたしをぎゅっと抱きしめた。
「お、お父さん大袈裟だよ。モフにゃーとギャップちゃんも一緒だったんだよ」
「それでも可愛いアリナのことがお父さんは心配だったんだぞ。誘拐なんてされたらお父さん泣いちゃうぞ」
お父さんは言いながら抱きしめている腕に力を入れる。
「お父さんってば苦しいよ」
「また、やってるにゃん」
「あれはいつものことなのか?」
「うん、毎回あれだにゃん」
「アリナちゃんは可愛がられているんだな」
モフにゃーとギャップはわたしとお父さんのことを話している。そんなことより助けてください。




