表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

50/210

地球とグリーン王国

「え!? 地球のことを話すのかい」

「地球のことを……話すの?」


 タイゾーおじいさんとカーナさんは、アクアお兄ちゃんとストロベリーナお姉ちゃんをチラチラと見ながら言った。


「うん、この二人はこの世界でお兄ちゃんとお姉ちゃんみたいな存在なんだ。だからきっと話しても大丈夫だと思うの」


 わたしは、そう答えながら信頼出来る人がいなかった地球時代を思い出した。


 今のわたしには関係ないのに……。あの世界は過去なのに。


 富菜ちゃんの意地悪な顔を思い出す……。叔母さんと叔父さんの顔も。誰からも愛されていなかった過去は関係ないのに。


 お父さんとお母さんに捨てられたことも思い出してしまう。


 わたしはアリナであり安莉奈ではない。でも、やっぱりわたしは安莉奈でもあるんだよ。


 このグリーン王国ではお父さんから鬱陶しいくらい愛されている。それからお母さんもわたしのことを愛してくれているのに。


 安莉奈時代を思い出すなんてどうしてかな。今が幸せであるからこそあの辛かった地球かこのわたしに戻りたくないからかもしれない。


「お二人が信頼出来る人であるなら話してみても良いんじゃないかな」

「そうね。わたしもそう思うわ」


 タイゾーおじいさんとカーナさんがそう言ってくれたので勇気が湧く。


「タイゾーおじいさん、カーナさんありがとう。じゃあ、話してみるね」


 わたしがお礼を言って話そうとしたその時。


「そういえばわしら注文まだだったぞ」とタイゾーおじいさんが言った。


「あ、ごめんなさい。話に夢中で……」

「お客様注文をお伺いするのを忘れていました。ご注文はお決まりでしょうか?」


 アクアお兄ちゃんがすかさず対応する。


 タイゾーおじいさんとカーナさんの注文をアクアお兄ちゃんが受け料理が二人の目の前に運ばれてくるのを確認すると、わたしは話を始めた。


「アクアお兄ちゃん、ストロベリーナお姉ちゃん驚かないで聞いてね」


 わたしは、落ち着いて話すため深呼吸をして呼吸を整えた。



アクアお兄ちゃんとストロベリーナお姉ちゃんがわたしの次の言葉をじっと待ってくれている。


 だから、わたしは信じられないような現実を語らなくてはならない。


「わたしね……この世界の人間じゃないんだよ」


 わたしは勇気を出して言った。


「え?」とアクアお兄ちゃんとストロベリーナお姉ちゃんはほぼ同時に言った。それに続き、ギャップも「え? ガォ~!!」と吠えた。


 そして、なぜだかモフにゃーも「にゃぬぬ」と、首を傾げた。


 モフにゃーのことはとりあえず置いておくとして。


 わたしは、地球のこと、その地球では安莉奈だったこと、タイゾーおじいさん達と一緒に黄色のバスに乗せられこのグリーン王国に召喚されたこと、その後のアリナとしての日々などを話した。


 アクアお兄ちゃんとストロベリーナお姉ちゃんは、話の途中で口を挟まず相槌を打ち聞いてくれた。


 そして、わたしが全て話し終えると沈黙が流れた。それからしばらくすると、アクアお兄ちゃんが口を開いた。


「アリナちゃんはこの世界に来るべくして来たのかな?」と言った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ