二人は今
「ねえ、二人はどうして一緒にいるの?」
一番疑問に思ったことを尋ねる。
「あ、それね。あの神様とやらにこのナットーと一緒に木々が生い茂っている場所に飛ばされたのよ。ぽーんって感じでね」
「そうなんだよ。あの神様は乱暴だよ〜」
「へ! そうなんだ。それからずっと一緒にいるの? ちゃんと住むお家はあるのかな?」
わたしは心配になり聞く。
「それは大丈夫だよ。アリナちゃんは優しいね。わたしとナットーは優しい人に拾われたのよ」
「そうだよ。俺達は花屋さん夫婦に拾われたんだぜ」
「お花屋さんに。なんか華があっていいなぁ〜」
お花に囲まれている二人を思い浮かべわたしはほっとする。
「アリナちゃん、なんか頭にお花が咲いてるぞ」
「え? 咲いてるかな〜?」
わたしは頭の上を触りお花が咲いているか確認する。
「あはは、やっぱり幼女みたいだよね。手もなんかぷにぷにしてるもんね」
「仕草が可愛すぎるよな。十八歳なんてあり得ないよ」
サナとナットーは目を細めて笑う。
「だ、だって、わたしこの世界に来てから心も幼女に戻ってしまったみたいなんだもん」
「そうなんだ。そんな感じだよね」
「可愛くていいんじゃないの?」
「う〜ん、でも地球の記憶があるしそれにグリーン王国にやって来て数年経っているんだよ。足し算するとわたし二十一歳になっているんだよ」
わたしって大人な幼女なのと思うと顔が熱くなった。なんか恥ずかしい。
「そっか、そうなるんだね。あはは、でも見た目も心も幼女なんだからいいんじゃない?」
サナはしゃがんで目線をわたしに合わせる。
「そ、そっかな……」
「うん、可愛くて羨ましいよ」
そう言ってにっこり笑うサナこそとっても可愛らしかった。
「そうそう、可愛くていいよ」
ナットーもしゃがんでわたしに目線を合わせニッと笑った。
「ありがとう。幼女からやり直しにバンザイかな。それはそうと、サナちゃんとナットー君も地球の記憶があるんだね」
と、言ったところで。
「お客さ〜ん、アリナ。スープが出来ましたよ」とお父さんに呼ばれた。
「う〜ん、親子丼も納豆も美味しいよ〜」
「地球の日本時代を思い出す味だよ」
席に着いたナットーとサナは早速親子丼と納豆を交互に食べているのだった。
そうなのだ。わたしは素早く納豆を創造した。
「サナちゃん、日本時代って。シーッだよ」とわたしは唇に人差し指を当てる。
「あ、ごめんね。この親子丼と納豆がとっても美味しくて懐かしくて声に出してしまったよ」
「わ〜い、それは嬉しい。ありがとう。あ、でもシーッだよ」
なんて、わたし達が話をしていると、お父さんがスープを運んできた。
「お待たせしました。スープです」と言いながらテーブルに熱々のスープを置く。
「スープは平凡なんだね。でも、美味しそう」
「この国らしい感じだね」
サナとナットーはスープに目を落とし言った。
「アリナの料理と比べたらありきたりだけど美味しいはずなので熱々のうちに召し上がってくださいね」
「は〜い、いただきます」
「美味しそういただきます」
二人はスプーンを手に取った。
「アリナのスープもあるぞ」
お父さんはサナとナットーの隣のテーブルにスープを置いた。
「わ〜い! やった〜ありがとう。わたしお父さんのスープ大好きなんだ」
日本食ではないけれど、お父さんのスープはキャベツやニンジンにタマネギやお豆をグツグツ煮込み心のこもったスープだ。
わたしはスプーンを手に取る。
「いただきま〜す」
食べる前にチラリと隣の席に目をやるとサナとナットーがスープを食べているところだった。
「なんか優しい味がするね」
「身も心もぽかぽか温まるね」
二人がお父さんの料理を喜んでくれていることがとても嬉しかった。
わたしもスープを口に運び食べた。
キャベツやタマネギにニンジンなどの野菜の旨みがよく出ていて幸せな味がする。お豆も柔らかくてほくほくだ。わたしはにんまり笑顔になる。
「う〜ん、美味しい」
あっという間にスープをぺろりと平らげてしまった。
「アリナ美味しいかい?」
「うん、とっても美味しいよ」
「それは良かった。お父さんはアリナの笑顔を見ることができて幸せだぞ」
お父さんはとろけるような微笑みを浮かべわたしを見る。
「アリナちゃんは幸せみたいだね」
隣の席からサナが声をかけてきた。
「うん、わたしは幸せだよ」
心から幸せだと言える今に感謝だ。
「うふふ、やっぱりそうか。このカフェ食堂に入った瞬間なんだかあたたかいな〜ってわたし感じたもんね」
「俺もあたたかいなって感じたよ」
サナとナットーがこちらを見て笑った。
「サナちゃんとナットー君も幸せかな?」
「うん、わたしも幸せだよ」
「俺も幸せだよ」
二人の返事を聞いてこのグリーン王国に召喚されたことは吉と出たのかなと思った。




