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黄色のバスの乗客


 お店の中にお父さんが引っ込んでくれたのでこれでよしと。


「おい、ちょっとそこのお嬢ちゃん。準備体操って何だよ?」

「そうよ、わたし準備体操なんてしないわよ」


「ん? あ、お客さんのお兄さんにお姉さん準備体操のお時間ですよ。じゃなかった、えっと、黄色のバスと神様のことが聞きたくて……お父さんに聞かれたくなかったの」


 わたしは不服そう顔をしている二人に言った。


「ふ〜ん、そっか。と、いうことはお嬢ちゃんはあのバスの乗客だったってことだよね」


 男の子はなるほどといった感じでポンと手を打つ。


「そういうことね」と女の子も納得したようにうんうんと首を縦に振る。


「はい、わたし、あの変なバスの乗客でした。ヒラヒラな白の布を纏ったような古代風プラスファンタジーを混ぜ合わせた服装の妖しげな神様な連れて来られました」


 と、わたしは答える。


 今でこそ神様に感謝しているけれど、あの時は本当にびっくりしたもんね。


「あ、でもあの時幼女なお嬢ちゃんなんて乗客に居たかな?」


「だよね? わたし達と年配の女性とおじいちゃんにそれから、若い女の子に猫ちゃんしかいなかったような気がするけど」


 男の子と女の子はわたしをじっと見て首を傾げた。



「えっと、それはね。わたし幼女になってしまったんだよ」


「は? 幼女になってしまったってまさか?」


「あ、まさかのまさかあの『ワシは嫌だ。君達の王国などワシには関係ない。ワシは日本に帰るぞ』と、鼻息を荒くした白髪頭のおじいさんが幼女になったとか〜」


 女の子はそう言って可笑しそうにクスクス笑う。


「ちょっと、お姉さんそんなわけないでしょ。わたしはアリナです。元の姿は十八歳の女性安莉奈だよ」


 わたしはぷくっとほっぺたを膨らませる。どうして、おじいちゃんがわたしなのよ。


「へぇ~アリナちゃんはわたしより年上なんだ。どう見ても幼女なんだけどな〜。あ、わたしはサナよ。地球時代は十六歳の高校二年生の佐奈さなだったんだけどね」


 サナちゃんはわたしのことを食い入るように見ている。


「びっくりした〜アリナちゃんが十八歳だなんて! どう見てもやっぱり幼女だよ。あ、俺は地球時代は中学一年生十三歳だった納豆なっとうだよ。こっちの世界ではナットーって呼ばれているんだ」


「え? 納豆って名前だったの!! 美味しそうな名前だったんだね〜」


 わたしはあのネバネバした納豆を思い出しながら言った。


「おい、納豆って呼ばないでくれよ」


 納豆、あ、違った。ナットーは顔を赤く染めながら抗議をする。


「納豆食べたくなっちゃった〜」


 わたしはあのネバネバした納豆が食べたくてたまらなくなった。


「よし、今度は納豆を創造しようかな」


 もう納豆を思い浮かべただけで幸せな気分になる。


 だって、ご飯に納豆をのせて食べると最高だよ。ネギを刻んで入れるのも良いね。それからキムチをトッピングしたり、マヨネーズをかけるとまろやかになるな。


 なんて、納豆のことを考えると、ああ、今すぐ納豆を創造したくなる。


「お〜い、アリナちゃん。さっきから、納豆、納豆って連呼してるよね。俺はナットーだからね」


「へ? わたし納豆って連呼していたの?」

「うん、納豆、納豆って繰り返し言ってるよ」


 ナットーは口を尖らせてわたしを見る。どうやら心の声が漏れてしまったみたいだ。


「えへへ、ごめんね。日本食の納豆を思い出したら食べたくなっちゃったんだよ」


 わたしが頭をポリポリ掻きながら言うと、サナも「わたしも納豆食べたいな〜」と言って笑った。


「じゃあ、納豆も創造しちゃおうかな」

「賛成!」

「反対! あ、でも納豆食べたくなるな〜」

「ナットー君は納豆好きなんだね」

「うるさ〜い!」


 黄色のバスに乗せられこのグリーン王国に召喚されたわたし達は気が合うようです。


黄色のバスに乗り共に異世界へやって来た仲間達の登場です。

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