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わたしだけに見える魔法

「わたしは今、目で楽しめると〜っても美味しそうな料理が載っている本を眺めているんだけどまさかモフにゃーとギャップちゃんは見えていないのかな?」


 わたしは恐る恐る尋ねる。


「え? 美味しそうな料理にゃん! 何も見えないっていうか真っ白なページだにゃん。見えていたら食べたくてウズウズしちゃうにゃん」


「俺もモフにゃー主と同じくただの白いページに見えるぞ」


 と二匹は返事をした。


「そ、そっか。わたしだけ見えるんだ」


 わたしは美味しそうなたこ焼きやお好み焼きの写真と二匹を交互に眺めそうなんだと納得した。


 えへへ、わたしだけに見える魔法の料理本だなんてなんだかとーっても素敵だな。そう思うと、口角がキュッと上がり猫の口元みたいになった。


「アリナちゃんってばなんか嬉しそうだにゃん」

「だよな〜」

「えへへ、だって、神様からわたしだけに与えられた特別なプレゼントみたいな感じで嬉しいんだもん」


 そう答えたわたしの口角は更にキュッと上がる。


「さて、どんな日本料理を創造しようかな〜」


「アリナちゃん何が食べたいのにゃん?」


 モフにゃーが大きな目をキラキラと輝かせ尋ねてきた。


「ぐふふ、それはね。秘密かな〜なんてね」


 わたしは、ふわふわの卵がとっても美味しそうなその料理の写真を眺めながらにっこりと笑ってみせた。


「あ、アリナちゃんってばズルいよ〜教えてにゃん」

「そうだよ。モフにゃー主の言う通りだぜ。気になるぞ」


 ぷくっとほっぺたを膨らませ抗議をしてくるもふもふな二匹が可愛らしくてたまらない。


 わたしはうふふと笑い二匹の頭をナデナデしてあげた。


「う〜ん、気持ちいいにゃん」

「おっと、ライオン魔獣鳥のこの俺が人間にナデナデされたぞ」


 二匹はわたしにナデナデされながらうっとりした顔になっている。その表情があまりにも可愛らしくてわたしはキュンとする。


「もう、モフにゃーもギャップちゃんも可愛いんだから」


「にゃはは、わたしって可愛いでしょ。って何を食べたいのか早く教えてにゃん」


 モフにゃーは得意げに胸を張ったかと思うとその後ぷくっとほっぺたを膨らませた。


「この俺も可愛いのかよ。って、早くアリナちゃんよ、何が食べたいのか教えるのだよ」


 ギャップも自身のたてがみに手を触れうっとりしたかと思うと、その後モフにゃーと同じくほっぺたをぷくっと膨らませた。


 もう、モフにゃーもギャップも可愛すぎるんだってばー。


「わたしの食べたくてみんなに食べてもらいたい日本料理は親子丼だよ」


 そう答えるだけで、もう親子丼が食べたくてたまらなくなった。


「親子丼にゃん?」

「親子丼ってなんだ?」


 モフにゃーとギャップは首を傾げわたしを見る。


「うん、親子丼だよ〜鶏肉を卵でとじご飯の上にのせたどんぶりものなんだよ。それでね、親子丼っていう名称は鶏の肉と卵を使うからなんだよ」


「へぇ~鶏と卵を使うからなんだにゃん。なんか美味しそうだにゃん」

「鶏と卵か。それは是非そのままガブッと食したいものだな〜ガォー」

「ちょっとギャップちゃんってば怖いよ〜」


 ギャップが鶏をガブッと丸呑みする姿を想像してしまい、わたしはゾクッとする。


 もふもふで可愛いと思っていたけれど、ギャップはやっぱり猛獣鳥のライオン魔獣鳥なんだなと改めて感じた。


「ん? アリナちゃんどうしたんだい? 何故ブルブル震えているのかな。俺は怖くないぞ」


 ギャップは舌舐めずりをしながら言った。


「だから、その舌舐めずりが怖くてでも可愛いんだよ〜」


 わたしはブルブル震えつつもチビッコ化しているギャップはそれでも可愛いなと思った。


「何じゃそれは。俺はどっちかというとカッコいいはずだぞ。それはそうと、その親子丼とやらを食べさせてくれよな」


 ギャップはご自慢のたてがみに手を触れながら言った。


「わたしも早く食べたいにゃん」


 モフにゃーも舌舐めずりをしてわたしを見る。


「うん、わかったよ〜モフにゃーとギャップちゃんも手伝ってね」


 わたしはにっこりと笑う。


 さて、楽しい創造タイムだよ。

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