久しぶりの二人
わたしはエプロンの紐を結び直し「よし、頑張るぞ」と気合いを入れてみせる。わたしの話を聞いていないもふもふ達のことなんてこの際気にしないもんね。
さて、問題はどんな日本料理を創造するかだよね。それはそうと今回のお客さんはどんな人なのかな?
わたしは客席をそろりと覗く。今日もひっそりしていてお客さんも少ないのかなと思いながら。
店内は、窓際の席に初老の男性が一人とカウンター席に人型と他の動物の外見を持ち合わせる獣人が一人。それから。
「あ〜」とわたしは思わず声を上げてしまった。だって、二人掛けのテーブル席に腰を掛けているお客さんは。
アプリコット色の髪に目は海の色を思わせるようなアクアマリン色で、男性なのにとっても色白で美しくてちょっと妖しげな雰囲気が漂っているあの人と、ストロベリーブロンドヘアがとっても似合っていて目の色はアメジスト色で丸っこい目がものすごくキュートな女性だったんだもん。
「よっ、アリナちゃん」と男性が片手を上げた。
「アリナちゃん食べに来たよ〜」と微笑みを浮かべる女性。
そうなのだ。この世界でわたしのお兄ちゃんとお姉ちゃんのような存在であるアクアお兄ちゃんとストロベリーナお姉ちゃんだったのだから。
「アリナちゃんってば大きな目を見開いてどうしたの?」
ストロベリーナお姉ちゃんがうふふと笑いながら言った。
「ううん、なんか久しぶりだな〜と思ったの」
わたしは嬉しくてニコニコしながら返事をした。
「ニホン料理を食べに来たぞ」とアクアお兄ちゃんが言った。
「うわぁ~ニホン料理を注文してくれたのはアクアお兄ちゃんとストロベリーナお姉ちゃんだったんだね」




