二匹の野生時代は
「お掃除って楽しいね♪ ラララ〜♪」
わたしはもふもふ達と一緒に歌を歌いながらお皿の破片を掃いている。それと、ついでにホコリや食べ物のゴミなども掃き掃きした。
「みんなでする掃除というものは楽しいものだな」
ギャップが満足げな笑みを浮かべわたし達の顔を見回した。
「うん、楽しいね。でも、お皿を割っちゃダメだよ」
「まあそう固いことを言うなよ」
ギャップはアハハと能天気に笑う。
「そうだぜ、能天気なのが一番だぞ」
日焼けもギャップと同じくアハハと呑気な笑顔だ。やっぱりこの二匹はそっくりだよ。
「アリナちゃんは幼女なのに時々おババっぽいことを言うよな」
「ちょっと日焼けちゃんってばおババとは酷いよ」
わたしは口を尖らせ文句を言いながら、だって、幼女ではあるけど、安莉奈時代の記憶も半分くらい残っているんだもんと思った。っていうか安莉奈時代だっておババじゃなかったよとほっぺたをぷくっと膨らませる。
「ねえ、それはそうとギャップちゃんと日焼けちゃんの野生時代はどんな生活だったの?」
「あ、わたしもそれ知りたいにゃん」
モフにゃーも身を乗り出し興味津々なお顔だ。
「俺の野生時代か。ガォ~」
「この俺の野生時代な」
ギャップと日焼けは揃って得意げな表情になりニヤリと笑った。
「俺の野生時代は誰よりも強くてカッコよくてそして孤独だったぜ。ガォ~」
そう答えたギャップの目は遠くを見つめていた。
「俺の野生時代も誰よりもカッコよくてそして孤独だったぞ。ん? 誰よりも強くてカッコいいのはこの真っ黒魔獣であるこの日焼けだけどな」
日焼けはそう言いながら遠くを見つめているギャップの横顔に視線を向けた。




