ふんわり優しい羊おじさん
「これはこれは、もふもふさん達はおじさんのニホン料理を食べているんだね」
羊おじさんは自身ののり弁当を食べられてしまっているのにもかかわらず呑気に笑っている。
「はいにゃん。美味しく頂いているにゃん」
「やはり目の前にある美味しいものは食べるに限るな」
「有難く頂いているぞ」
もふもふ達三匹は元気よく返事をした。
「そうかい、そうかい。確かにそうだな。ただ、おじさんもお腹が空いているんだよ」
羊おじさんは優しく柔らかい口調で言った。
「うにゃん、そうだよね……おじさんもお腹がぺこぺこだからご飯を注文したんだにゃん。わたし食べちゃったにゃん」
モフにゃーは申し訳なさそうな表情になっている。
「……この俺の『目の前に美味しそうな食物がある=いただく』は間違っていたのかな……」
ギャップもそう言ってしゅんと俯く。
「そうか、おじさんも腹ぺこなんだよな……」
日焼けも反省したかのように俯いた。
「おじさんも腹ぺこだよ。でもね、おじさんは君達を責めているわけじゃないからね」
羊おじさんはモフにゃーの頭に手を伸ばし優しく撫でた。それからその手をギャップの頭に移し優しく撫でた。続いて日焼けの頭にも手を伸ばし優しく撫でた。
「このアリナちゃんのニホン料理は誰だって食べたくなるよな。ほんの少しおじさんにも残してくれたらそれでいいよ」
羊おじさんは目じりを下げてふんわりと笑った。
「おじさんありがとうにゃん」
「あ、ありがとうガォ~」
「あ、ありがとうよ。この真っ黒魔獣である俺にありがとうと言われて光栄と思えよ」
三匹のもふもふは口々に言った。
「あはは、ありがとうな」
羊おじさんはやっぱり目じりを下げて優しく笑った。なんて、心が広いんたろう。わたしも優しくならなくちゃね。




