羊おじさんとのり弁当
先ずは、タルタルソースのかかった白身魚のフライから食べた。すると、おじさんの柔和な表情がよりゆるゆると緩んだ。なんだか見ているわたしもふにゃふにゃ顔になりそうだ。
メェ~メェ~。
おじさんももふもふの仲間に加えてあげようかな。あはは。なんて、冗談だよ。ちょっと違うね。
「これは美味しいぞ。外はサクサクで中は柔らかくてそれとこのソース最高だよ」
おじさんは大きな口を開けて幸せそうな笑顔を浮かべた。
「おっ、しかも白いご飯と食べると美味しさが増すぞ。あ、中に何か入っているな。う〜ん、これはご飯が止まらないぞ」
羊おじさんは(あ、羊おじさんって失礼かな。まあいっか)美味しい笑顔と感想を言いながら食べてくれた。わたしも幸せな気持ちになるよ。
わたしが羊おじさんの食べる姿を眺めていると、「ん? あ、いや、とびっきり美味しくてついつい感想を言ってしまったよ」と顔をあげ照れたように笑った。
その表情がまた羊っぽくてもふもふの仲間入りにしてあげたくなった。
「ううん、感想を言いながら食べてくれて嬉しいです。それと、食べている姿をじっと見ていてごめんなさい」
「しっかりした可愛らしいお嬢ちゃんだね。感想言いながら食べてもいいんだね」
羊おじさんは目じりを下げて笑った。うわぁー羊感が増し増しだ。メェ~メェ~。
「ん? なんか言ったかい? メェ~メェ~?」
羊おじさんは不思議そうに首を横に傾げた。
「あ、えっと、お客さんのお顔が羊さん似ているかなと思って。ついつい」とわたしは正直に答えてしまった。
おじさんの目は一瞬点になった。そして、「あはは、羊さんかい!?」とやっぱり羊みたいな笑顔を浮かべた。




