お待たせしました
「お待たせしました〜アリナ特製のニホン風のり弁当で〜す!」
「アリナちゃんの特製ののり弁当だにゃん。わたし味見したにゃん」
「このライオン魔獣鳥である俺も試食済みの美味しいのり弁当だぞ。有難く食えよ」
「ぬむむ、この真っ黒魔獣である俺がちゃ〜んと味見をしたのり弁当とやらだぞ。心して食べるのじゃ〜」
わたし達は笑顔でお客さんにのり弁当を提供する。って、ちょっと待って、どうしてギャップと日焼けは上から目線なんだ。
わたしは、ギャップと日焼けを睨む。けれど、ギャップと日焼けはドヤ顔だよ。呆れちゃう。
お客さんは、柔和な羊みたいな表情のおじさんだった。そのおじさんは、ギャップと日焼けを見てちょっと驚いたように目を丸くした。
だけど、すぐに柔らかい笑みを浮かべ「これは美味しそうですね」と言ってのり弁当に目を落とす。
「はい、わたしアリナ特製ののり弁当はきっと美味しいと思いま〜す」
わたしはニコニコ笑顔を浮かべてみせた。
「ほっ、お嬢ちゃんが作ってくれたのかい」
おじさんは顔を上げわたしを見た。優しくて垂れ目の小さな目が羊に似ていた。なんだかほのぼのしちゃう。なんてのり弁当と関係ないことを考えてしまった。
「は〜い、わたしが作りました」
創造料理ではあるけれど、美味しく食べてくれたらいいなと思い心を込めたんだもんね。
「そうかい。それは嬉しいな。では、いただきます」
おじさんは垂れ目な目をより垂らしてお箸を手に取った。




