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便利な神様ボタンだよ

「神様ってやっぱり神様だったんだね」


 わたしは神様は凄いなと尊敬の眼差しを向ける。神様は満更でもない顔をしている。


「あ、そうだ神様。わたし料理の材料ってよくわからないよ」


「はぁ、材料がわからないとは情けない子じゃな。まあ、安心しなさい。材料は自動作成されるからな」


「自動作成?」


「そうだよ。料理に必要な食材が表示されるぞ。足らない食材がある時は『足りません』と出るからその時は、神様と表示されているボタンを押すのだよ」


 神様はそう言ってニヤリと笑った。


「なんと、神様ボタンもあるんですか!!」


 わたしはびっくり仰天する。


「そうじゃよ。そんなに驚くことかな? アリナよ」


 口元に手を当ててくくっと笑う神様。


「だって、この吹き出しウィンドウがあるだけでびっくりなのに色々機能もあるんだもん」


「ホッホそうかい。その時はわたしが食材を調達するからね」


「ありがとう神様」

「どういたしましてだ」


 わたしと神様はにっこりと笑い合う。けれど、ちょっと待ってよ。元々は神様がわたしをこの世界へ召喚したんだよね。


「ん? アリナどうかしたのか」 

「ううん、何でもありません」


 わたしはそうこの世界へ連れて来られてきたことを思い出している。けれど、ここがわたしの居場所だ。


 むしろ神様に感謝している。


「そうかならば良い。創造魔法は良きことに使うのだぞ。では、アリナ幸せな人生を生きろよ。それと、もう一つ小箱もプレゼントするよ」


 神様はそう言って姿を消した。



そして気がつくと目の前にモフにゃーが居た。


「あれ? 神様は何処?」


 わたしは、辺りをキョロキョロ見回す。


「アリナちゃんどうしたにゃん? さっきからぼーっとしてにゃん。あ、これ美味しそうだにゃん」


「へ?」


 視線をモフにゃーに戻すとオムライスを食い入るように見ていた。


 もしかしたら時間が止まっていたのかな? まさか……。


「ねえ、モフにゃーわたし誰かと話をしていなかった?」


 と尋ねるとモフにゃーは「アリナちゃんは一点をじっと見つめていたにゃん」と答えた。


 なるほどわたしと神様だけの時間だったようだ。


「そっか、モフにゃーそのオムライス食べていいよ」


 そう言ったのとほぼ同時にモフにゃーは目の前のオムライスをがっついていた。


 モフにゃーのその食べっぷりがあまりにも可愛らしくてほのぼのする。


「はむはむ。美味しいにゃん。卵がふわふわにゃん。それになんだか幸せで懐かしい味がするにゃん」


 モフにゃーは幸せいっぱいの笑顔を浮かべオムライスを食べている。


 神様ありがとう。わたしに素晴らしい力を与えてくれて。


「よし、もう一度オムライスを創造してみるぞ」


 わたしは気合いを入れてみせた。



先程神様と一緒にオムライスを作った要領でわたしはもう一度挑戦する。


 オムライスを思い浮かべる。


 すると、わたしの目の前にふわふわとろとろの卵にトマトケチャップがかけられている。オムライスがぽわんと創造できた。


「うわぁ〜美味しそう」


 そうだ、あの二人に食べてもらおう。その前に味見をしなくちゃね。


 わたしはスプーンを手に取りオムライスを口に運ぶ。


 思い浮かべたオムライスと同じ味がした。ううん、それ以上に美味しいよ。ケチャップと鶏肉がたくさん入っているチキンライスが卵と良く合い、これはもう美味しくてほっぺたが落っこちる。


 ぐふふ。


「美味しいオムライスを創造しちゃいま〜す」


 わたしはオムライスをさらに二人前創造した。


 それをお隣りの経営者の目の前にど~んと置いた。


「こ、これは何だ?」

「え? 大きな卵かな?」


 お隣りの食堂経営者の兄妹はオムライスに目を落とし驚いているようだ。


「やった〜びっくりしてるよ」


 わたしは口元に両手を当てて笑った。


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