もふもふなモップ
「なんかタオルがびしゃびしゃだにゃん」
「だよな……びしゃびしゃだぞ」
「モフにゃー主が水を撒くからだろう」
「うにゃん、床を綺麗にしようと思ったんだにゃん」
洗い物をしているわたしの後ろからなんだかとんでもない言葉が聞こえてきたような気がする。
「でもさっきよりびしゃびしゃだぜ」
「うにゃん……仕方にゃいわたしのもふもふの毛並みで床拭きをしようかにゃん」
「おっ、それはモップみたいになり良いかもな。ただ、モフにゃー主の真っ白な毛並みが汚れるぞ。そうだ、この真っ黒な俺の毛並みをモップにすると良いぞ。ふふっ、日焼け色だから汚れが目立たないぞ」
この会話はダメだ。アウトだー。
わたしは振り向きたくないけれど、勇気を出し振り向くことにした。
えいっ! すると。
床が水浸しになっていた。その水浸しの床に日焼けが飛び込もうとしていた。
「うわぁ~やめて〜!!」
わたしは叫ぶのとほぼ同時に子供用の踏み台からぴょーんと飛び降り日焼けの元へと走った。
「ん? アリナどうした?」
日焼けはこちらに視線を向けた。
「せっかく乾かしたんだからモップ代わりになったりしたらダメだよ」
「俺は日焼け色だから汚れは目立たないぞ」
「汚れが目立つ目立たないとかじゃなくてまた日焼けちゃんがびしゃびしゃになるよ」
わたしは呆れつつ真っ黒なもふもふな日焼けをじーっと見た。
「そっか、それもそうだな。また、ドライヤーとやらの熱風で乾かされるのも嫌だしな」
「……そういう問題じゃないんだけどね」
「じゃあ、この床はどうするんだ?」
ギャップが水浸しの床を指差す。
「う〜ん、困ったね」
「やっぱりわたしがモップににゃるの?」
「ならなくていい。タオルをたくさん持ってくるよ」
わたしは、とてとてとタオル置場に向かった。
そして、みんなで水浸しになった床を拭いた。もふもふ達は幼女なわたしを困らせることばかりするけれど、可愛い奴らであることには変わりない。
床を拭き拭きした大量のタオルの洗濯もしなきゃだね。