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創造料理を作ります

「おいおい、アリナ間抜け面になっている場合じゃないぞ」


 神様はわたしの顔を見てクスッと笑う。


「あ、はい。だって、びっくりしたんだもん」


「アリナも質問してみるのだ」


「あ、うん。はい。では、質問で〜す。エビフライは日本料理ですか?」


 と、わたしが尋ねると。わたしの目の前にあるマンガの吹き出しのような画面に、


『エビフライ。


 発祥地:地球の日本。


 解説じゃー:エビフライは海老を大量の食用油で揚げた明治時代の日本で開発されたフライの一つじゃー。即ち日本料理なのだ』


 と表示された。


「す、凄い!! ま、魔法みたいだよ」


 目を丸くするわたしに神様は、呆れた顔で「だからさっきから魔法だと言っているではないか」と言った。


「そ、そっか……わたし魔法が使えるようになっちゃった」


 口に両手を当ててわたしは感激する。


「さてさて次はだな」

「え? 次があるの?」

「おいおいアリナ……日本料理を創造するのだろう」

「あ、そうだった」

「では、先ずは手始めにオムライスかエビフライを思い描くのじゃ〜」


 神様はそう言いながらわたしの肩をぽんぽんと優しく叩いた。


「はい、わかりました。じゃあオムライスが食べたいかな?」


 わたしは、オムライスと言っただけでヨダレがじゅるじゅると垂れそうになった。


 そして、わたしは大好きなオムライスを思い浮かべる。



 ふわふわとろとろの卵にトマトケチャップがかけられている。想像するだけでほっぺたが落っこちそうだ。


 チキンライスをふわふわの卵で包み込む。それを白のお皿に移す。形を整えて大好きなケチャップをたっぷりかける。


 うわぁー想像するだけでもう幸せ一杯になる。


 ふわりとケチャップの美味しそうな香りが漂っている。食べたくなっちゃうと思ったその時。


「え? ウソでしょ!!」


 そう、わたしの目の前にそれはもう美味しそうなオムライスが置かれていたのだ。


「神様ありがとう。オムライスを作ってくれたんだね」


 もうヨダレを垂らしそうな勢いでお礼を言うわたし。


「何を言っているんだよ。アリナがそのオムライスを創造したんじゃないか」


 神様は呆れ顔になったかと思うといつの間にか笑顔になりウィンクをした。


「この美味しそうなオムライスをわたしが創造したの!?」


 信じられなくて神様の顔とオムライスを交互に眺めた。


「アリナ成功したな。おめでとう。君は人々を幸せにできるぞ。そして、アリナ自身をもな」


 神様はわたしの頭に手を伸ばしナデナデしてくれる。その手はやっぱり温かくて心がぽかぽかになった。


 この世界の住人になって良かったなと改めて感じた。故郷は地球の日本かもしれないけれど、わたしはこの世界で生きていこう。


 だって、大好きな家族も眷属であり良き相棒のモフにゃーもいる。それに神様がわたしを見守ってくれている。


 「さて、アリナよ。わたしは神の世界へ戻ろうとしようかな」


「え! 神様帰ってしまうの?」


 なんだかちょっと寂しくなりわたしは神様のヒラヒラな白の布みたいな服の袖をむぎゅっと引っ張ってしまった。


「あはは、わたしはアリナに気に入ってもらえたか。嬉しいぞ」


「じゃあ神様もわたしの家に住む?」


 わたしは目をうるうるさせ神様をじっと見る。


 そんなわたしを神様は柔らかな眼差しで見つめ返してくれた。


 そして、「アリナは大丈夫だぞ。わたしは神の世界から見守っているからな」と言って慈愛に満ちた表情を浮かべた。


「わたしのことを遠くから見守ってくれるの?」


「ああ、そうだよ。あ、それと言い忘れたが食材もその画面の中に入っているからね」


「食材が画面の中に入っているって何かな?」


「日本料理を創造する時の材料だよ。材料オープンと唱えると表示されるのからな」


 神様はそう言ってウィンクをした。どうやらこの神様はウィンクをするのがクセになっているみたいだ。なんて神様のウィンクに注目している場合じゃない。


「食材も表示されるの? オムライスは何も見ないで作ったよね?」


「まあ、それは食材があったからな。足らない時は注文と書かれているボタンを押すのじゃ〜よ」


 きょとんするわたしに神様は「ほれほれ、ここに『注文』と書いてあるだろう」と神様は、わたしの頭上にある吹き出しウィンドウを指差す。


 わたしは、それを見上げ、「あ!」と声を出す。


 よく見ると、『注文』と書かれているボタンのようなものがあった。

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― 新着の感想 ―
材料費かからないなんて!費用いらす、手間いらず!!さすが非現実〜
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