真来のお家に急ぐよ
トテトテトテ、にゃんにゃんにゃん、ガォガォガォー、ふさふさふさとわたし達御一行が真来のお家に向かう。
その時。何かを忘れていることにわたしは気づく。それは……。
「あ、真来への手土産の創造途中だったじゃない」
日焼けちゃん騒動ですっかり忘れていた。
「お土産にゃん」
先程まで主らしき姿だったモフにゃーがいつもの食いしん坊だけが取り柄な猫ちゃんに戻った。(それを言ったらきっと、猫ちゃんじゃない聖獣猫だにゃんと言うはずだけど)
「うん、真来に持っていくお土産の桜餅が舞い降りてきただけだったよ。しかもモフにゃーやギャップちゃんが桜餅をたらふく食べるんだもん」
「あの桜餅美味しかったな」
「あの桜餅まだまだ食べられるぞ」
モフにゃーとギャップが口々に言い舌舐めずりをした。
「もう食いしん坊なんだから」
それでも、やっぱり可愛らしいモフにゃーとギャップを眺めているとほのぼのしちゃう。しかも日焼けも「俺も桜餅とやらを食べたいな」なんて言って可愛らしいのだ。
「なんてほのぼのしてる場合じゃないよ。真来のお家に辿り着く頃には日が暮れちゃう〜」
わたしは早くしないとと焦る。だって、帰りが遅くなるとお父さんが心配しちゃうもんね。
色々創造しようと思ったけれど仕方がない。さっさと桜餅をもう一度創造しよう。
わたしは、ピンクフラワーの花びらが舞う中もう一度桜餅を思い浮かべた。すると、桜の香りと共に桜餅が舞い降りてきた。
「よし、桜餅をわたしアリナのカゴに詰め込むぞ〜」
わたしは舞い降りてきた桜餅をカゴを動かしスチャ、スチャと見事にキャッチした。すると、桜の香りが鼻腔をくすぐり懐かしさで胸がいっぱいになった。
あんなに辛くて思い出したくもなかった日本が地球が懐かしいよ。過ぎ去った思い出は美しく感じる。ひらひら舞う薄いピンク色の花びらが地球にある日本から舞い落ちてきた……そんな感覚に陥る。
楽しかった記憶なんてないのに。胸がきゅっとなる。もし、地球で真来と今も過ごしていたらどんな人生を歩んでいたかな。考えても仕方がないことを考えてしまった。
さあ、このグリーン王国にある真来のお家にお邪魔しよう。わたしは、微笑みを浮かべ歩き出そうとした。その時。
「美味しいにゃんたら美味しいにゃん」
「桜餅という食べ物は美味しいな。ガォ~」
モフにゃーとギャップの食いしん坊な声が聞こえてきた。その声に続き。
「これが桜餅という食べ物であるのか」
日焼けの驚いた声も聞こえてきた。
振り向くともふもふな三匹が美味しそうに桜餅を食べていた。もう、わたしが地球時代の思い出に浸っていたというのに呑気なもふもふ達だ。




