もふもふ達と一緒に
それから数日後の春風が心地よいある日、真来の家にお邪魔することになった。
「アリナよ、お父さんも一緒に行こうか?」
「お父さんはお仕事があるでしょ」
「だが、心配だな……」
お父さんは眉間に皺を寄せ不安そうに溜め息をつく。
「眷属のわたしがアリナちゃんをしっかり守ってみせるから大丈夫にゃん」
「モフにゃー主に仕えている俺もいるから大丈夫だぜ」
モフにゃーとギャップが頼もしいことを言ってくれる。でも、モフにゃーがわたしの眷属だったことなんてすっかり忘れていた。だって、幼い妹のような存在になっているもんね。それに、ギャップもモフにゃーに仕えているようには見えません。
それでもわたしは嬉しくて胸が弾む。
「モフにゃーにギャップちゃんがいるから大丈夫だよ」
わたしは、にこーっと笑ってみせた。
「そうか。では、モフにゃーにギャップちゃんアリナを頼んだぞ」
お父さんはモフにゃーとギャップを交互に見て言った。
「はいにゃん。任せてにゃん」
「ふっふん。このライオン魔獣鳥である俺に任せろ」
モフにゃーとギャップは並んで胸を張る。その姿があまりにもキュートでキュンとする。
「じゃあ、モフにゃーにギャップちゃん行こう。お父さん行ってきます」
わたしはそう言ってお父さんに手を振る。
「アリナ気をつけるんだぞ」
「は〜い」
「は〜いにゃん」
「任せておけ」
お父さんはまだ、「心配だな」と言っているみたいだけど、わたし達は元気よく歩きだした。
「るんるん♪ らんらんらん♪ 真来のお家が楽しみだ〜うさ聖獣さんも楽しみだよ♪」
わたしは真来のお家ともふもふなうさ聖獣を思い浮かべ鼻歌を歌う。
「にゃんにゃん♪ 真来のお家のお菓子が楽しみだにゃんにゃんにゃん♪ うさ聖獣さんも楽しみにゃん♪」
モフにゃーはなぜだか真来のお家のお菓子を楽しみにしているみたいだ。食いしん坊な歌声だよ。
「ガォガォガォ〜♪ 真来のお家のお菓子を食べるぞガォガォガォ〜♪ それからうさ聖獣をまるっと丸呑みじゃなかった、うさ聖獣ともふもふするぞ♪」
ギャップも真来のお家のお菓子とそれからうさ聖獣を丸呑みだなんて恐ろしいことを歌っているよ。どうやら間違えたみたいだからほっとしたけれど。
わたし達は花吹雪の中歌を歌いながら真来の家へと向かったのだ。このグリーン王国にも日本の桜とよく似た花であるピンクフラワーが咲いている。
こんな風景の中を歩いていると地球が日本が懐かしい。
「あ、そうだ! 忘れていた」
「ん? アリナちゃんどうしたんだにゃん?」
「お父さんの手作りアップルパイは持ってきたけど、アリナ特製の日本料理を忘れていたよ〜」
桜とよく似たグリーン王国の花ピンクフラワーを眺めていると日本料理をお土産に持っていくと真来が喜んでくれるんじゃないかなと思った。
「お外で日本料理を創造するぞ〜」
わたしは腕を突き上げる。




