誰もいない部屋のヌイグルミ
掲載日:2023/04/04
その部屋の中には誰もいない。
ヌイグルミだけが、存在している。
たくさんのヌイグルミが山のように積み重なっている。
同じものは一つもない。
それに加えてどれもが、有名な品物だった。
ブランド物や宝石が付いている品物もある。
それらは、誰かを楽しませるためだった。
しかしもう用済み。
部屋を利用していたものが死んだからだ。
だから、ヌイグルミだけがこの部屋に残された。
ほかの家具や道具は運び出されても。
まだ残されている。
役目がある、というように。
ここにあるのは、棺に入らなかった分のヌイグルミ。
なぜ、ヌイグルミだけが残されたのか。
それは燃やすためだった。
一つの部屋から立ちのぼる煙があった。
その煙は空の上で、再びヌイグルミとなり、再会した持ち主を楽しませる事になった。




