詩 記憶の塔と世界の賢者
――滅びゆく世界 ならばすべてを記録しよう
――いつかどこかの誰かが この地へやってきた時のために
どうしても どうしても
忘れることができないんだ
何があっても 何があっても
この記憶から消し去ることはできないんだ
それが消えてゆく時が来るならば
それは同時に僕も消えるときだから
一緒に連れていくよ
一人ではこの世界から消えられない
どうやっても どうやっても
忘れ去ることにはならないんだ
重い鎖で結び付けて
固く縛り付けてあるものだから
――意思を持った記憶の塔は
――世界が滅んだ後もただずっと 存在し続ける
「ストーリー」
世界滅亡の間際に、賢者は決断した。
ここであったすべてを、いつかどこかの誰かにために。
と。
たった一人、自らの知識欲を満たすためだけに作った、その塔を目覚めさせる。