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心刃一体アクトナイト  作者: 仲居雅人
情動の力編
77/150

第77話 友達

 どうしてアクトナイトのままなのか分からない。変身が解除出来ないのはアイテムのトラブルか、それとも自分の心が原因か。


 とにかく、まずは変身を解くために信太郎は色々試していた。


「外れろおお!」


 無理矢理外そうとしているが、マテリアルはビクともせずに離れない。



 気が付けば能力が暴走し、周りの物が崩壊を起こしていた。


(場所を変えないと…ここじゃ周りの人を巻き込むよ)

「…いや、別にそれでもいいじゃん。何を今更…」


 誰と会話しているんだと首を傾げる。周りには誰もいない。いたとしても既に崩れてしまっているだろう。



 デストロイを中心に大きな穴が出来上がる。そんな目立つことをしてしまったので、アクトナイト達が来てしまった。


「信太郎!もうやめろ!」


 将矢が変身したフレイスバスターが飛んで現れた。デストロイの無差別破壊能力に臆することなく、将矢は前進し語り掛ける。


「こんなことして何の意味がある!」



(破壊の能力は封じさせてもらったよ。君は誰かを傷付けることを、心の奥底では嫌っているからね)

「黙れ!何なんだよ!」


 どこからか聞こえる声と将矢の声、両方が頭に響く。デストロイの破壊の能力は停止し、近付いた将来がバラバラになることはなかった。


「何があったんだ!どうして相談してくれない!」


 攻撃の直前で手を止めたフレイスは説得しようと諦めていない。きっと話し合えると、信太郎を信じていた。



「………いいよな………」




「いいよなお前たちって!誰かに相談出来るくらいの不幸ばっか起きちゃってさ!俺なんて人に相談するにはあまりにも小さ過ぎる…どうでもいい問題しか抱えてないんだからな!」

「だったらそんなこと気にせずに生きればいいだろ!」

「そんなことだって気にしないと生きていけない人間なんだよ!俺は!」


 フレイスの胸をデストロイが切り裂いた。バスターとなり防御力は増しているはずなのだが、大きな傷が出来ていた。


「…俺は信太郎が好きでこんなことするはずないって信じてる。今相談したくないならしなくてもいい。けどまず、こんな自分まで傷付けるようなこと、やめにしないか?」




「参ったな。啓太と千夏にだったらさ、その言葉どの作品から引っ張って来たって煽れるんだけど………」


 信太郎は嫉妬している。理想的な人柄をしている火野将矢の粗を指摘しようと言葉を探している。


「両親が離婚したことあるか?注いでもらえるはずだった愛を他のやつに奪われたことってある?」


 結局、選んだのは不幸自慢。自分の粗を見せつけるだけだった。


「あるわけねえよな!そこが違うんだよ!」

「違うからなんだよ!何があっても俺たちは友達で、一緒に戦って来た仲間だろ!」


「友達ね…おい聴こえてるだろ他のやつ!将矢は俺の友達らしいけど…お前たちどうなんだよ!」


 何を考えているのか、デストロイはフレイスの刃を握ってそのまま自分の身体に深く突き刺した。


 いつからか信太郎は他の仲間たちと心が繋がらなくなっていた。だが今、こうして無理矢理繋がったことで、また相手の本心を探れるようになったのだ。


「俺は信太郎の友達だ。こんなことやめてくれるって信じてる…みんなは…どうなんだ?」


 確かに、将矢は信太郎を友達だと信じ続けていた。


「どうしてそこまで…そいつは将矢を傷付けたんだよ!?」

「私は…まだ許せない。啓太を侮辱したことを。今もまた!こんなやつ友達じゃない!」




「だそうだ。どうやら俺の友達はお前だけだったみたいだな。ありがとうよ」


 満足した信太郎は刺さった刃を抜くと、無防備だったフレイスの胸にもう一撃浴びせた。


「まあ、友達だと思ってるのもお前だけなんだがな」



 変身の解けた将矢。だが倒れず、信太郎と目を合わせて話そうとしていた。


「武蔵坊弁慶にでもなるつもりか?死ぬぞ」

「まだ生きてるぞ。どうしてトドメを刺さない…」


 ここで殺せばもう二度と目の前に立ち塞がることはない。死んだ人間はシャオにも治せないのだから。


「慈悲だな。これでも俺はヒーローだからさ」

「殺さないのなら…俺は何度だってお前に倒されてやる。また一緒に生きられるその時が来るまで…」


 なぜそんな言葉が平気で言えるのか、信太郎には理解できない。だが何を言われても不快になるだけの信太郎に、今の将矢は邪魔でしかない。


「やっぱりここでお前を殺してな!もう一度そのマテリアルをもらうことにするよ!」




 そうして頭上から勢いよく振り下ろした剣は、誰に介入されることもなく将矢に寸でのところで止まった。


(駄目だよこんなこと。一生治らない傷になる。みんなにも、君自身にも)

「………誰なんだよお前は」

(僕は…)


 語りかける何者かの名前を聞こうとした時、信太郎は遠くない場所から怪人のエナジーを感知した。




「誰かが俺を求めてる!ヒーローを!とうっ!」


 情けない声で信太郎は怪人の元へ向かった。




 倒れない将矢の元にシャオが連れて来られ、治療が急いで行われた。


「将矢!どうしてあいつなんかにそこまで優しくするの!?」

「啓太はいないし、みんなもあんな感じだ…俺が助けないと誰があいつを助けるんだよ」


 傷はもう治った。将矢は信太郎を諦めずに追いかける。そして奏芽たちも、信太郎を倒すために彼の後を追った。

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