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心刃一体アクトナイト  作者: 仲居雅人
大月信太郎編
139/150

第139話 少年たち、宇宙旅行へ

 地球には今、アクトナイトという戦士がいる。彼らによって現在の平和は守られ、地球に住む者たちは安心して暮らしているのだ。



 そして今も、二人の戦士が街に現れた怪人と戦っていた。


「周りには建物も人もいない!思いっきりやるぞ!」


 赤い戦士、アクトナイトフレイスが剣を掲げると、炎の壁が現れて怪人の逃げ道を塞いだ。


「ハァーッ!」


 青い戦士、アクトナイトアーキュリーが水玉を弾丸の様に飛ばし、怪人に命中させていた。


 怪人は二人の連携に身動きが取れず、一方的に攻撃を喰らっていた。


「トドメだ!」


 そして炎を噴出して加速したフレイスは、そのまま怪人を切り裂いて戦いを終わらせた。




 そんな戦いが日々続いていた。


「いつになったら戦い終わるんだろうね?」


 アーキュリーの少女、清水奏芽はふと尋ねた。


「さあな。いつかは終わって欲しいけど、分からないな」


 質問されたフレイスの少年、火野将矢にそれは分からない。彼も戦いが終わる日を待ち望んでいた。



 メルバド星人の侵略が始まり、剣を取ってからもう2年が経とうとしている。日常が戦いだけというわけではないが、振り替えると戦いのことばかりを覚えて思い出が少かったりするのは悲しいものだった。




 だから少年たちは、思い出を作りにいくことにした。それも日本の名所や海外ではなく、宇宙へ。






 拠点でもあるアクトナイト記念公園には、彼らの他にも同じ戦士の仲間たちが集まって来ていた。


「今さらだけど大丈夫なの?僕たちが地球から離れて?」


 植物を操るアクトナイトジュピテルに変身する鈴木啓太は心配そうにしていた。


「心配すんな。ドラコが留守番してるから大丈夫だ」

「あたしに任せて、たまには」


 シャオとドラコは人の姿に擬態している宇宙人だ。特にドラコの本来の姿は翼竜なので、アクトナイト達がいなくても充分に戦える。


「それでどこ行くんだっけ?」

「オワロフ宇宙ステーションだ。あそこならこいつらでも不自由なく楽しめるだろ」


 シャオの言うオワロウ宇宙ステーションとは、無数に存在する宇宙人たちの交流の場である。宇宙ステーションに満ちているポションという特殊な人工空気は、どの惑星人でも呼吸に使える物なので、適応力が未知数な地球人でも宇宙服の着用は必要ないのだ。


「ワープも使って大体4日ぐらいで帰って来るだろ。それまで頼むぞ」


 シャオは荷物を持った少年たちを宇宙船に案内した。一部の部屋は改造されて、高速運転やワープの際に着席するシートが並んでいた。


「あの…墜落しませんよね?」

「こいつはへクソンダイヤを使ったエネルギー式の宇宙船だ。宇宙まではロケットみたいに飛ぶんじゃなくて浮かんでいく。大丈夫だ」


 不安そうにする陽川芽愛に、朝日昇士と灯刀那岐がポンポンと叩いて緊張しなくてもいいと伝えた。




「それじゃあ出発するぞー」

「なぜ俺が副操縦士なんだ…」

「いやー万が一に備えてだよ。」


 シャオが座る運転席。その隣の席には二地剛が座っていた。


「…お前も柔らかくなったよな。以前までのツンツンした性格だったら、そもそもついて来なかっただろ」

「美保が行きたいと言ったから付いて来ただけだ」




 記念公園の下からシャオの宇宙船アクトーザーが姿を現した。公園の地面を破壊しながら空へと向かっていく宇宙船に、地上にいるドラコが手を振っている。

 見えるわけもないがシャオは手を振り返すと、操縦桿をしっかりと握り船を宇宙まで上げた。




「おーすげー!身体が浮いてる!」


 宇宙に到達した頃、後ろの方が騒がしくなって来た。


「無重力にいると筋力の低下が激しいと言うが、大丈夫なのか。俺たちは戦士だ。万が一弱体化したら、取り戻すまでが大変だぞ」

「心配すんな。どっかの科学者が開発したマッスルバリアっていうシステムのおかげで筋肉量は維持される。そこの宇宙ステーションでもそろそろ採用されるって話もあっただろ?」


 いつもテレビでしか見ることのなかった宇宙ステーションが少し離れた場所にあった。

 それ以外にも、地球を出入りしている宇宙船もちらほら飛んでいる。


「どうしたシャオ?」

「メルバド星人がこの星を襲ったのは確かな事実だ。それで地球は滅茶苦茶になって…宇宙の改変まで起こってしまった」

「…何の話をしている?」

「お前たちを戦いに巻き込んで良かったのかなって…」

「アクトソードを握るやつらの事は知らないが、俺と那岐はメルバド星人と戦う宿命にあった…俺とあいつだけならば、ここまで地球を守り続けられなかっただろう。助けを求めたお前に間違いはない」

「そうか…それ言われるとちょっと気持ち楽になったわ」



「シャオ~いつまで停まってるんだよ~!」


 将矢が催促する。せっかくの地球を少年たちはもう見飽きたらしい。勿体ないなと思いながらも、シャオはマイクを付けてアナウンスをした。


「10分後、高速運転の後にワープをする。それ終わるまで席から立てないから、トイレとか行きたいやつは行っとけ」


 時間が経過し、全員がちゃんとシートに座っているのを確認。シャオは運転席に戻り、宇宙船を動かした。


「ワープスピード…1…2…3プロン!ワープ開始!」



 そして青い星を背に進んでいたアクトーザーはその場から消えた。

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