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心刃一体アクトナイト  作者: 仲居雅人
大月信太郎編
126/150

第126話 世界の行方

 身体を取り戻した信太郎は、脚を振ったり拳に強く力を入れて、確かに生き返ったことを確認する。

 戦えると分かると、メノルの方に身体の向きを変えた。


「いい加減にその剣、返してもらうぞ」

「嫌だヨ…気に入ってるんダ。こレ」


 信太郎はアクトソードを持たずに、物凄い速さでメノルに接近した。

 そして胸に向かってパンチを狙ったが、剣でガードされた。


「諦めろ。その剣は俺たちがここで取り返すって決まってるんだ」

「ならその運命。この力で変えてみせル!」


 メノルが剣を振り返し、生身の信太郎は流石に離れるしかない。剣を持って逃げ出そうとするメノルだが、背後には既にドラコが待ち構えていた。


「所詮はこの世界の一個体。僕を止められるのは」「逃がすかよ!」


 信太郎はメノルに飛び掛かり、今度は逃げられないようにガッシリと脚を掴む。これまでの戦いとあまりにもまぬけな絵面だった。


 信太郎が先に足を付けて立ち上がると、その場で回転してハンマー投げのようにメノルの振り回し、近くのビルに叩き付けた。


「あまりにも乱暴な戦い方じゃないカ…」


 それでも剣を放さない。目の前まで来た信太郎は、それから何度もメノルの顔を殴り付けた。


「いい加減に!しろ!諦めて!自分の!未来を!受け入れろ!」

「嫌ダ…僕ハ…僕ハ…こんな半端なところで負けられなイ!」


 そして信太郎は剣を奪うと、早速その大きな刃をメノルに向けて突き出した。


「どうだ………なに!?」


 信太郎は慌てて剣を引き抜いた。胸に開けた大きな穴は瞬く間に塞がり、メノルは動き出した。


「何か奪われたような感覚が…俺は何を奪われたんだ!?」

「剣は取られたけド…これでこの世界は変わル!」




 信太郎とメノル以外で今の状況を理解する者はいない。しかしその様子を見るに、信太郎が負けたことは分かった。




 しかし、いつまで経っても何も起こらなかった。メノルは困惑していたが、すぐに理解したようだ。


「どういうわけか信太郎君が存在している限リ、世界の改変が出来ないみたいダ」

「そりゃあラッキーだ…せっかく剣を取り戻したのにこれで終わりなんて、悔しいからな」

「また次の機会が来るまで怪人を出して待つとするヨ」

「チッ…」


 メノルが姿を消すと怪人も姿を消した。街は当然のように、日常の営みを再開していた。




 そしてその後、アクトナイト記念公園に戦士たちが集められた。


「あれ、信太郎。久しぶりだな」

「大月…君?」


「皆…信太郎のことを思い出したんだね!?」

「そう言えば私たち、大月君のこと最近まですっかり忘れてて…」


「剛と美保がいないぞ」


 信太郎が尋ねると、千夏が呆れた顔で答えた。


「あ~あの2人ね。二地君は武器が壊れちゃって、美保ちゃんはもう一度も戦ってないよ」

「さっきも来なかったしね」


「ていうか信太郎、お前…死んだんじゃなかったのか!?」

「そう言えばそうよ!芽愛に命を渡してたじゃない!」


「俺の事はどうでもいい!」


 信太郎が怒鳴ると昇士たちは口を閉じた。本題はここからである。


「メノルによってこの世界は書き換えられつつある…どういうわけか俺の存在がそれを防いでるみたいだが。もしも世界が書き換えられたら俺たちは消滅する!正確には全く別の大月信太郎や鈴木啓太が誕生するわけだが…当然、俺はそんなこと許せない。なんとしてこの野望を阻止したい!力を貸してくれ!」


 信太郎が頭を下げて仲間に頼むのはこれが初めてだった。


「そ、そんな頭を下げなくても…頼んでくれたら私たち、ちゃんと協力するよ」

「そうそう!友達だしな!」

「皆…ありがとう」


 生き返った信太郎はどこか違っていた。一度死んで色々考え方とかが変わったのだろうかと、同じく一度死んだ啓太はそう考えていた。


 その時が来るまで普通に生活していればいい。メノルが現れた所を倒す以外に方法はない。


「とりあえず…剛を立ち直らせないとな」


 そして信太郎はメノルの野望を阻止すべく、次の行動に移り出した。

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