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心刃一体アクトナイト  作者: 仲居雅人
大月信太郎編
111/150

第111話 空中戦 その3

 ガイアスが沈んだことで敵の勢いが増した。シャオによる回復も困難になり、戦士たちの動きもどんどん鈍くなっていた。


「きゃあ!」

「那岐!」


 那岐は背中に砲撃を喰らってしまう。墜落していく彼女を追って、昇士は急降下していった。


「このままじゃ…!」

「諦めるな!もう少ししたら応援っていうのが来るはずだ!」

「ていうか、デスタームはどこに言ったんだ!」




「那岐!」


 昇士が発射したエナジー弾は、ソルジャー達の攻撃を防いでいたバリアをいともたやすく破壊した。

 バリアに開けた穴の先。そこで那岐に追い付くと、彼女を抱えてゆっくりと地面に着地した。


「ごめん…」

「大丈夫!すぐにアクトナイトが治してくれるから!」



 すぐにペガスターがその場に到着すると、シャオは急いで治療を始めた。


「…弾の種類が違う。注意しろ!地上に多少の被害が出てもいい!絶対に被弾するな!」

「那岐、大丈夫だよな!?」

「当然だ!けどこいつが喰らった弾は腐敗弾だ!治療には時間が掛かるぞ…」


「そうか。だったら俺は戻って」「待て昇士!お前は芽愛と一緒に信太郎を探せ!」


 信太郎は戦艦が沈む前から先に地上へ降りていた。変身の出来ない彼だが、死んではいないはずだとシャオは信じていた。


「けどさ…」

「どうせ戻ったところで戦いに集中出来ねえよ。お前ら3人とも、心の片隅でおんなじこと考えてんだからな」


 3人の間であった出来事をシャオは知っていた。戦うために繋がらなければならないという点では、知ってしまったというのが正しいだろう。


「それより、大穴が開いたのに敵は誰1人降りて来ない。それどころかまるで、空中での戦いに戦力を注いでるみたいなんだ」

「つまり上の円盤たちは…時間稼ぎ!?」

「かもしれない。2人とも、信太郎を探すついでに街に異変がないか確めろ!」


 昇士は嫌々としながらも、芽愛と共に信太郎を探しに行った。それを見送ることなく、シャオは治療に専念した。




 その頃、上空では残った戦士たちが追い詰められ、1ヶ所に集まっていた。


「これヤバくない?」

「もう無理…疲れた」

「ならば、俺が殿を務めよう」


 アクトガーディアンはそう言うと、同じエアボードに乗っていたサートゥーンをビヴィナスの方へと移した。


「殿って逃げるまでの時間稼ぎじゃないすか!先輩、なにバカなことやろうとしてるんすか!?」

「死ぬつもりはない。だが、こいつらの限界が近いからな」


 そう言って手に持っていたアクトライフルとバヨネット、2つの人工マテリアルは煙を噴いていた。


「きっとこれが俺の最後の戦いだ」

「ちょっと先輩!」


 ガーディアンはエアボードを加速させると、ライフルを乱射して視線を集めながら敵陣に突撃していった。


「先輩を追って!ねえってば!」

「私たちは地上に逃げるの!」


 そしてボードのコントロールを握るビヴィナスは降下。それから順に、アクトナイト達は次々と地上へ撤退していった。




「ウオオオオ!」


 スーツにはノイズが発生して生身の部分が露出している。それに構うことなく、カーディガンは次々とソルジャーを撃ち抜き円盤へと飛び込んだ。


「何度も同じ機体に飛び込んだのだ。コックピットの位置は把握している!」


 そして以前のようにすぐには円盤を破壊せず、中にいた兵士を倒していきコックピットへ。


「アサルト及びアーマーのデータと同調!言うことを聞いてもらうぞ!」


 ライフルとバヨネットを連結させたアクトウェポン。それを操縦装置に突き刺すと、円盤型宇宙船のコントロールは剛の物となった。


 船の全砲門を開き、周囲へ無差別放火。既にカメラはやられていて外の景色は見えないが、自分たちを苦戦させたこの宇宙船なら確実に大きな被害を与えられたはずだ。



 宇宙船は攻撃を受けたのか、大きく揺れた後に機能が停止した。ここまでかと、剛はアクトウェポンを装置から引き抜いて脱出した。


「ここまで良く一緒に戦ってくれた」


 ビレッツの円盤は邪魔物がいなくなると、次々と地上へ着陸。降りてきたソルジャー達により、街の占拠が始まった。






「いってぇ…」


「こいつはどうして倒れないんだ!」

「稀に見る異常な生命力…地球人もそういう類いの生物なのか!?」


 地上でビレッツの宇宙人交戦している信太郎。複数の敵を相手に、時間稼ぎではあるものの未だ戦い続けていた。

 既に光は感じられず、音と匂い、それから肌に触れる風だけが頼りだ。左脚は失われ、胴にも穴が開いていた。


「もうそろそろで他のやつらが到着するはずだ。お前らの敗けだな」

「目が見えないようだから親切に教えてあげよう。既に街には宇宙船が降り立ち占拠が始まっている。敗けたのはお前たちだ」

「そんな、皆やられたのか!」


 突如、右脚の感覚がなくなった。


「くっ!…また狙撃か。一体どこから…!」


 立たせてくれる脚を失った信太郎は地面に倒れる。宇宙人の攻撃を防御することは難しくなかったが、今彼を襲った正体不明の狙撃。これが彼をここまで追い詰めた。


「流石にもう動かないだろう…おい、爆弾は無事だろうな?」

「あぁ、この通り。早く埋めて帰ろうぜ。来た時からこの星、臭くてたまんねえ」



 向きを変えて目的を果たそうとする宇宙人たち。しかしそんな彼らの前に、新たな障害が立ちはだかった。


「信太郎!…お前らがやったのか!」


 昇士と芽愛が到着し、地上での戦いは彼らに引き継がれるのであった。

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