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心刃一体アクトナイト  作者: 仲居雅人
大月信太郎編
110/150

第110話 空中戦 その2

 日が暮れた。それでなくとも円盤が空を塞いで人もいなくなったので、地上の世須賀はいつも以上に暗くなっていた。


 バリアポッドは健在だ。街にはまだ少しも被害は出ていない。



 だがしかし、ビレッツの宇宙人は街に侵入していた。世須賀上空にしか広がっていないバリアを避けて。




「本当にこの星にいるんですかね…?」

「既に予兆は見せている。特にこの街では著しく、異常なことが起こっている」

「原生動物には悪いけど、この爆弾で星の一部ごとやつを殺してやろう」


「やっぱりいた」


 しかし、彼らの侵入に気付いた信太郎が街へと降りて来ていた。

 変身は出来なくとも戦える。街を守る使命があるのだ。


「あ?地球人が何のつもりだ?」


 図体の大きな宇宙人の拳が振り下ろされる。信太郎は避けただけで反撃はしなかった。


「避けたぞ。あいつ、俺たちの攻撃を避けた」

「少しは退屈しのぎになりそうだな…」


「かかって来い!」


 信太郎の役割はただ1つ。仲間が誰か来るまで、時間を稼ぐことだ。






 夜になっても戦闘は続いた。この状況で不利なのは地球の戦士たちだった。


(うぅ…眠たい…)


 円盤に突入したビヴィナス。侵入者を迎撃しに次々とソルジャーが現れ彼女を包囲する。


「千夏!無理しないで!」


 危機を感知したジュピテルが駆けつけた。ソルジャー達を倒して宇宙船のエンジンを破壊してから、ビヴィナスを連れて脱出した。


「ありがと…怖かったー」

「アクトナイトに回復してもらおう」


 そう言う啓太にも余裕はない。2人はガイアスに戻りシャオに回復してもらったが、なくならない疲労感で押し潰されそうだった。


「あと何時間戦えばいいの…?」

「応援が時間通りに来るならあと16時間だな」


 2人は再び戦いに出た。回復担当のシャオにも疲れは出ていた。変身を維持させるためにエナジーを送り、戦艦に戻って来た負傷者を治療する。眠くてストレスも溜まって来てはいるが、負けられない戦いなんだと自分を鼓舞した。


「アクトナイト!うるさい!」

「あ~!すまん!…しまった、心が繋がってるから考えてることとか聞こえてるんだったな…集中集中!」




 1枚、また1枚と円盤が破壊されていく。怒涛の勢いで敵を襲うのは朝日昇士だ。

 彼は既に100機以上の宇宙船を破壊している。


「どんだけいるんだよ!宇宙のテロ組織ってのは!」


 彼が危険だと判断したソルジャー達が一斉に攻撃する。だが昇士には熱エネルギーの弾丸は効かず、あっという間に返り討ちに遭っていた。


「生身の地球人があんなに強いわけないだろ!もっとちゃんとやれ!」

「じゃあなんで仲間たちがやられてるんだ!」


 戦意喪失したとあるソルジャー。彼がもう使い物にならないと機械が判断すると、装着していたスーツが彼の身体を強制的に動かして昇士に突撃させた。


「うわああああ!?どうなってる!?」


 昇士の目前まで迫った瞬間、スーツの爆弾が作動。人間ミサイルにされたソルジャーは爆散した。



「こんなことまでするのかよ…」


 それでも爆発を直で受けた昇士は浮遊していた。一部始終を見ていた那岐はある異変に気が付いていた。


「あいつ…本当に地球人なの?」


 最初の頃は潜在能力が高い地球人かと思っていた。しかし彼の攻撃力と防御力は異常だ。組織で訓練を受けていた自分と剛よりも強くなった今、彼はこの星の人間ではないと疑いを持っていた。


「ハアアア!」


 そして今度は体内のエナジーを光線化して無数の円盤に直撃させていた。


 呆気に取られている那岐だが油断はしていない。背後に来ていたソルジャーを、腰の鞘に刀を納めるように突き刺して一撃。そこから振り返り様に、今度は居合い切りのように光軍の刃で切り裂いた。


 柄から形成される刃の出力が落ちている。疲労感はあるが、他も頑張っているのに休んではいられないと、那岐も負けずにソルジャーの群れに突撃していった。




 さらに時間が進み、日が昇り始めた頃…


「ガイアス!直撃を受けました!」

「バリアポッド全機排出!既に自立モードに移行してます!」


「そうか。では艦内にいる者たちは全員脱出を。バリアに焼かれないように気を付けて」


 ガイアスは飛行困難な状態となり、艦にいた人間が次々と脱出していく。芽愛もシャオを後ろに乗せるとペガスターを発進させて、艦から飛び立った。


「皆!戦艦がやられた!俺と芽愛を!ペガスターを守れ!」




 戦艦はバリアに触れて爆発した。自身の能力で浮遊するデスタームに、ソルジャー達が襲い来る。


「私に朝日昇士君ほどのパワーはありませんが、あなた達を軽く倒すことは出来ますよ」


 肉弾戦は出来ないかと思われていたデスタームは、次々と敵を倒していった。攻撃を避けると手刀で胸を貫き、一撃で仕留める。スーツ姿から繰り出されるのは恐ろしい必殺技であった。


「デスタームさんよ、どうして地球を守る必要がある?こんな星に何か思い入れでもあるのか?」

「この星は私の商品ですから。荒らされると困るんですよね」

「商品ねぇ…メングランの眠る星で商売とは度胸があるんだな」

「メングラン!?」


 単語に同様したデスターム。その背後からソルジャー達は一斉に攻撃する。だが攻撃は全て跳ね返され、あっという間に数が減らされた。


「これでも駄目か。流石だな」

「まさかビレッツが受けた依頼は…」

「そう、眠れる怪獣の駆除だ」


 残った1人はそう言い残して、デスタームへ特攻を仕掛けて爆発した。

 火炎から逃れたデスタームは何も告げることなく、静かに戦線離脱していくのであった。

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