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心刃一体アクトナイト  作者: 仲居雅人
大月信太郎編
109/150

第109話 空中戦 その1

 戦闘が始まった。飛行能力を持たないアクトナイト達はエアボードに乗り、各々円盤へ突撃。弾幕やソルジャーによる迎撃を抜けて、敵の宇宙船に乗り込んでいった。




「内部から破壊か…」

「成功すると良いね」


 戦闘力のない信太郎と芽愛はガイアス内部のモニターから外の様子を見ていた。二人はいつ墜とされるか分からない戦艦の中で不安になりながらも、仲間たちの生還を祈っている。


「…それで、2人に謝れたの?」


 芽愛は首を横に振った。実は出撃前、信太郎からの提案で昇士と那岐に直接謝ろうとしていた芽愛。だが勇気が足らず、結局何も言えないまま戦場へ飛び立つ姿を見送ってしまったのである。


「じゃあ…帰って来たら言おう?」

「でも…もしも帰って来なかったら…」




 一斉に放火を受けたサートゥーンが墜落していく。バリアに触れる間一髪のところで、デスタームが超能力で彼女を掴むとそのまま艦内に収納した。

 変身が解けた美保はすぐにシャオの治療を受けると、「大砲がウザイ!」と文句を垂れながら変身して再び舞い上がっていった。



 モニターにはシンの変身するセルナが映っている。

 謎の多い少年シン。信太郎は今回も戦艦ガイアスの中で彼と出会い、身代わり分身作戦を実行することが出来た。


「大月君、あのシンって誰なの?私たちの知り合いじゃないよね?」

「うん。俺もよく分かんないけど…」


 シンはセルナに変身出来る謎の少年だ。どこの高校に通っているのかも分からず、以前は彼の声だけが聞こえてくるなんてこともあった。


「味方だよ。ムカつく性格してるけど」


 シンは装甲を突き破り円盤の中へ。彼に侵入された戦艦は1分もしない内に煙を噴いて墜ちていき、街を守るバリアによって粉々に砕かれたのだった。




 それから3時間経つと、戦士たちはバテ始めたのか敵の勢いが増す。いくらシャオが身体を回復させても、精神には限界があるのだ。


「皆がやられちゃう!」


 芽愛の言う通り、このままだと一気に押し通される状況だ。

 だが街がやられてしまってもセルナの分身がいる限り人々が傷付くことはない。


 デスタームは戦士たちをガイアスへ呼び戻すと、その場を一度離れていく。その殿を務めたのはセルナだった。


 セルナは敵のソルジャー達から集中攻撃を受けた末に変身が解除された。生身のシンはそのまま地面へ落ちていくが、ソードとマテリアルは信太郎の元へ飛んで戻って来るのだった。


「酷いなお前ら。持ち主置いて逃げ帰って来て…まあ多分、生きてるんだろうけど」


 信太郎は心配することなく、艦へ戻って来た仲間たちを出迎えた。


「もー!1つも落とせなかったんだけど!」

「俺たちの役割は時間稼ぎだ。それに美保、お前はそのスピードで敵を翻弄している。良く出来ているぞ」


 全員が無事に戻って来ていた。芽愛は一瞬、昇士たちの元に駆け寄ろうとしたが足が止まり、信太郎の隣で様子を見ていた。


「流石のあんたもこうなるとバテるわね」


 少し息が上がった様子の那岐を横に、昇士は汗を流して倒れていた。視界はチカチカとしていて、呑気にもシャワーを浴びたがっていた。


「先程、エンドミサイル使用の許可を得た」

「はぁ!?絶対にダメ!街がなくなる!」



 遠くの円盤たちはバリアを破壊しようと攻撃を集中している。これを見ていた信太郎は、円盤の目的は自分たちではなく街にあると察した。




「それでこれからどうする?」


 シャオが全員を回復させる。ガイアスからは次々とバリアポッドが街の上空へ送られ、攻撃を防いでいた。


「もうアレでバリア張ってれば良いんじゃない?」

「いや、連中の攻撃速度を見るに応援が来るまでにポッドは尽きる。やはり君たちに頑張ってもらうしかない」


 デスタームは近くのコントロール装置を操作すると、ハッチを開いて出撃しろと頭を振った。


「お前は戦わねえのかよ」

「私はこの戦艦の防御という大切な役目がある。街を守るためのバリアポッドばかり積んでいてしまって、反撃の手段が私ぐらいしかないんだよ」


 街を見捨てればもっと楽に戦えた。そう言いたいらしい。

 少年たちは再び空へ。芽愛は戦う仲間たちの姿を見て悔しそうにしている。

 自分が変身出来れば…昇士と那岐の力になれるのに。そんなことを考えていた。



「やっぱりダメか~!」


 信太郎は何度もマテリアルの脱着を繰り返していたが変身出来ずにいた。壊れたのかと剣を叩くが、そもそもこれは機械ではない。


「もうちょっと緊張感持ってよ!みんな戦ってるんだよ?」

「だから参戦出来るように努力してるんだよ。アクトベイト!」


 叫び声が虚しく部屋の中に響く。相変わらず、信太郎は信太郎のままなのだった。




「フオオオオ!」


「なんだこの地球人!?生身でこんなに強いなんて!グワッ」

「改造でもされてるのか!?」


 昇士のエナジーは荒ぶり、次々と円盤を破壊していた。常識を滅茶苦茶にしたデスタームの呼んだ応援に頼るつもりはない。


「弱いくせになんで攻めて来る!」

「昇士!調子に乗らない!」


 死角からの攻撃を那岐が防いだ。そんな背中合わせの2人をソルジャー達が包囲。だが昇士は突っ走っていった。


「昇士!」

「ウアアアア!」



 激しさを増していく戦い。この戦いの先にあるものは一体…?

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