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ばじゅてんっ!〜馬術部の天使と不思議な聖女〜  作者: M・A・J・O
第二章 聖女な嫩

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第19話 嫩と沙織の妹と

「――というところで、エタってしまいまして」


 莉央から相談を受けたから何事かと思ってきてみれば、創作小説の続きが思い浮かばないということらしい。

 しかも、ここにはなぜか嫩先輩も来ている。

 莉央に汚されないかと不安だったけど、この創作小説はまだ健全でマイナー性癖もなさそうだから助かった。


「面白いわね。莉央ちゃんって、芸術系のセンスあったのね。絵も描けるみたいだし、羨ましいわ」

「えへへー、そんな褒めないでくださいよー。調子に乗っちゃいますってー。あ、こっちも見ます? 蟲姦のお話で」

「ちょっと待てぇい! それは一般人にはまだはや……というか、なにさらっとこの流れでR18薦めてるの!?」


 いや、まじかこいつ。

 いくら嫩先輩と会った瞬間反りが合ってすぐに意気投合したとはいえ、嫩先輩は莉央の同志というわけではないのに。


「え、なら獣姦の方がよかったかな」

「とりあえずR18から離れて!?」


 なにがなんでもエロ方面を薦めたいらしい妹を止めるのには苦労した。

 獣姦ならまだ絵面的に受け入れてくれることもあるかもしれない。

 だけど、蟲姦はだめだ。虫なんて苦手な人が多いのに。


 しかも、莉央の絵柄の場合リアリティもあるから、絵面がかなりグロテスクなことになっている。

 一部の人には高い支持を得ているというが。


「というかさ、莉央ってさっき私たちが読まされた小説のことで相談したかったんでしょ? その状態で他のもの薦められても……」

「そういやそうだった。同志を作ろうとつい必死で」

「ここで探すな」


 私は妹の頭にチョップを入れる。

 嫩先輩は神聖な存在なんだから、勝手に汚さないでほしい。

 勝手な想像だけど、嫩先輩にえっちなことの知識はなさそうだし。

 嫩先輩にはそのままでいてほしい。


「ふふっ、やっぱり姉妹っていいわね」

「あ、す、すみません。二人だけで話しちゃって」


 蚊帳の外に放り出されたにもかかわらず、嫩先輩は楽しそうだ。

 嫩先輩優しすぎない?

 こりゃ、惚れない人いないでしょ。


「私も妹かお姉ちゃんがほしかったわ」

「嫩先輩って一人っ子なんですか?」

「そうなのよ。だから、姉妹っていいなって」


 嫩先輩の言葉になにかひらめいたのか、莉央がメモを取っている。

 どうしたんだろう。

 莉央が熱心に人の話を聞くなんてめずらしい。

 莉央の手元を覗き込んでみると、なにを書いているのかすぐにわかった。


「……嫩先輩の話を参考に続きを書くの?」

「もちろんだとも! 姉妹うらやましいって聞いてピンと来たんだよ! もういっそこの子たちを姉妹にしてしまおうと!」

「なんの話かしら?」


 嫩先輩も覗き込んできたことによって、莉央の創作説明スイッチが入った。


「さっき見せた創作小説が行き詰まってたのは、この子たちの深堀が! 設定が! 愛が! 足りなかったと気づいたのですよ! この子たちをどんな関係性にするか、どういう人生を歩ませていくのか、ぼんやりとしか浮かんでこなかった……だけど! この子たちを実は姉妹ということにしたらもっともっと作品に奥行きが生まれるということでしてつまりは」

「うん、もういい。もういいからこれ以上はやめて」


 莉央の熱い力説をとめるのもどうかと思ったけど、このまま喋らせ続けたら次の日までぶっ通しで口が休まないかもしれなかった。

 それだけ、莉央は創作に命をかけているということだ。

 ハマるものがあった方が人生は楽しいだろうけど、限度というものは考えてほしいと思う。


「ふひぃ、失礼失礼。このお口はおしゃべりなものでして。――で、お二人さんはお付き合いしてるという認識でよろしいでしょうか?」

「急に話変えないでくれる!?」


 莉央の口から思わぬ言葉が飛び出したことによって、私の身体も飛び跳ねた。

 いや、それを言うつもりではいたけど、いきなり話題を変えられると心の準備が!

 ……というか、あれ、もしかして莉央って私と嫩先輩の関係性に気づいてる?

 さっき「付き合ってるの?」って聞いてたもんね?

 私、まだ莉央になにも喋ってないんだけど。


「えぇぇぇぇ! なんで知ってるの!?」

「あ、付き合ってるんだ。薄々わかってたけど」


 なんということでしょう。

 なんで莉央はこんなに察しがいいんだ?

 勘がよすぎないか?


「いやー、お姉ちゃんが家にだれか連れてくるなんてはじめてだからさー。私やお母さんたちに紹介したい人連れてきたのかなーって。もしくは紹介はしないけど特別な人アピールしたいのかなとか」


 しまった、こんなことなら前にだれか連れてこればよかった。

 でも、家に連れてくるほど親しい人なんて私にいなかったし。

 たしかにこれじゃあ、私の特別な人だとアピールしているようなものだ。


 私は莉央の言葉でその場に倒れる。

 そんな私を無視して創作活動にいそしむ莉央と、私と莉央を交互に見て現状を必死で理解しようとする嫩先輩というカオスな状況が生まれた。


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