狐の嫁入り
コレは狐の嫁入りの話
何百年も前の話
欠けた子供が 攫われたらしい
少女は蹲る 1人森の中
「知らないところに来てしまったようだわ」
「どうしたの?」
涙を零す少女に声を掛けたのは 優しい色の青年だった
「優しい声ね」
安心した少女に 青年は笑った
「どうして笑ってるの?」
少女のガラス玉のような瞳は輝く
「綺麗な瞳だね」
少女のそっと伸ばした手が 青年に触れる
「貴方は柔らかくて綺麗な髪をしているのね」
「君は変わってるね」
哀しそうなその声音は 切なくて胸が痛い
でも、この人も皆と同じなのかしら…
「僕が人里へと連れて行ってあげる」
「ありがとう」と笑う私に
君は「もう来ちゃダメだよ」と言った
優しい声のこの人にも きっと嫌われたのね…
造りモノのような瞳から流れるのは ガラス細工のようだった
貴方は困ったように「また来たの?」と言う
それでも いつも待っててくれるの
はじめて会った場所で コレがきっと恋ね
貴方に会いたくて ケガをしても、蔑まれても 私は大丈夫
「一緒に暮らそうか」
君はいつもの優しい声で 頭を撫でた
「嬉しいわ」
でも貴方は私の大切な人には 会えないみたい
何回聞いても 貴方は笑ったまま
誤魔化されてるみたいね
「貴方も変わっているのね」
「僕は変わっているよ」
でも、貴方と一緒にいたいわ
「思い残すことはない?」
「ココは嫌いだもの」
笑う私の瞳に 貴方は映らないけれど
私の目がガラス玉でも 貴方を愛しているわ
街の喧騒も、もう何も聴こえない
静かな森の奥、隣には貴方
「アノ子は欠けてる子」「何も出来ない子」
私は何も出来ないわ
でも悪意は感じることが 出来るのよ
嫌だったわ、言えなかったわ
でもそれも 懐かしいわね
季節が何回巡ったか 分からない頃
「私はどれくらい変わったかな」
頬に触れて 呟く私に
「君は全然変わらないよ」
はじめの頃と変わらない貴方は 相変わらず優しい声で 私の頭を撫でた
「貴方も変わらないわね」
欠けた子供が 狐に攫われたらしい
何百年も前の話
狐の嫁入りの話
目が見えないから 彼女は攫われた
何も知らない無垢なまま 真っ白のまま消えちゃった
何となく思いついたモノです。
解釈の仕方は、読んだ方に任せます。
…と言いましても、考えるまでもなく分かると思いますが。
気が向きましたら、「欠けた少女」をシリーズで書いてみたいと思います。
読んでくださりありがとうございました。
何か感想頂けると、とても嬉しいです。




