第81話VS元一級魔術師①
前回以上に短くなってしまいました。すみません。
「お、お前は!」
舞っていた埃が地面に落ち切り視界が良くなってきた。俺の目の前にいたランの偽物は徐々にその姿をあらわにしていた。そして、完全に視界が晴れてその姿が見えたときランの姿をした偽物はランの姿ではなく本物の彼自身の姿をしていた。そう彼というのはあの元一級魔術師カワラルーンであった。その服装は汽車であった時とは異なっていたものでありマスクやサングラスで顔を隠すこともなくその瞳に映る冷たい視線も読み取ることができた。
「カワラルーンどういうことだ」
今までは立場上敬っていたがもう敬うなんてことをしない。俺は敵意を明確にしてカワラルーンと対峙する。俺の問いかけに対してカワラルーンは「ふん」と鼻で笑った。鼻で笑った後意外にも俺の質問に答えてくれたのだ。
「どういうことか。まあ、俺には目的がある。それにはまず君ギン=ハバードは計画の邪魔となるので消しておこうと思っただけだ。あと、安心しろ。君の幼馴染のランは今頃ホテルにでも眠っているぞ。君はホテルから偽物と行動していたのだよ。よくもまあ、気づかなかったものだ」
「……」
俺の疑問には答えてくれたが釈然としなかった。それにランのことを気づくことができなかった。それが最も俺が悔しいと思ったことだ。幼馴染でいつも一緒に行動していた俺達2人。その行動や仕草は完全に理解しているものだと思っていたのに俺は理解すらできていなかったなんて本当に悔しいことだ。
「ふん。まあ、今更後悔しても仕方ないだろ。なぜなら君はここで死ぬ運命だからだ。さあ、行くぞ。俺の全力を出してやる」
元一級魔術師の全力と言われたらもう勝ち目などないものだ。しかも、俺は腹に重傷を負っている。これは完全に死んだ。俺の人生はここで終わりなのか。諦めるなと自分の心の中で叫ぶ。しかし、それでも諦めたくなるほど現実は絶望であった。この状態をどうすればいいのか。俺は必死に考える。カワラルーンの弱点というものを探す。見つけ出そうとする。しかし、そんな簡単に見つけることができたら苦労はしない。俺は決死の覚悟で戦うという選択をした。
戦う構えを見せる。右手を前に出す。左手はやや後ろにだ。足もそれにつれて前後にずれている。いつでも走れるように魔法を発動できるようになっている。
俺の戦うという選択を見てカワラルーンは不気味な笑みを漏らした。
「戦うのか。いいじゃないか。逃げるよりは面白みがありそうだ。受けて立つぜ!」
カワラルーンはやる気にそして殺意に満ち溢れていた。俺はこの殺意を見て一瞬引いてしまった。これが一級魔術師。殺意もその気配も俺達二級魔術師とは半端ないほどの差があることを見せつけられた。だが、ここで諦めるわけにはいかない。何としてでもここで勝つんだ。
俺は一瞬引いてしまった気持ちを締め直し再びカワラルーンと対峙する。
それが俺にとって思い出したくない戦いにへと発展するのはまだ誰にも分からなかった。




