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二級魔術師のギン  作者: 騎士星水波
第4章 テンテン砂漠編
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第56話科学文字

 俺達は暗い地下通路を歩き始めた。地下通路は見た感じ先の方には明かりらしきものは見えなかったのでまだ先は長い。これほど長い通路を作った人は何の思惑があったのだろうか。俺はつい考えてしまった。


 「ギンさん。これ見てください」


 横を歩いているレイ(ちなみに下はパンツだけ)が俺に声をかけてくる。レイはどうやら偶然少しの明かりで壁に書かれた文字を発見したようだった。


 「どうした?」


 俺はその文字を見ようと壁の近くに寄ってみる。壁には文字が書かれていた。しかし俺にはそれらを読むことができなかった。しかしながら俺にはその文字について思い当たることが1つだけはあった。


 「ギンさん。読めますか?」


 レイは聞いてくる。俺はいいやと断ったうえで話を続けた。


 「読めない。読めないがこれはおそらく科学文字だろう」


 「科学文字? 初めて聞きました。それは何ですか?」


 レイは知らないようだ。だが実のとこ俺自身もあまり詳しいことは知らない。昔、どこかの図書館で読んだ資料の中の内容を覚えたぐらいのことだ。だから、文字を読むことなんてできやしない。ましてや俺が話す内容が真実だとは限らない。


 「科学文字というのは古代の文字のことさ」


 俺はそう言う。レイはまだわかっていないようだ。それも当然だろう。これは本当に昔の話なのだから。


 科学文字。

 魔術師という存在は今から150年前に現れた存在だ。では、150年より前には人類はいなかったのかと言われてしまうとそうではない。人類はもっと昔からいる。ただ、魔術師が誕生したのが150年前というだけのことだ。では、150年より前のことはなんというかそれは科学時代という。科学という技術がこの世界を斡旋していたということだ。科学は魔法ではなくもっと現実的なものだというらしい。俺からしてみれば科学の方が非現実的な話に感じてしまう。今では科学によって作られたものなどは世界中にある古代遺産と言われている遺跡群ぐらいしかない。もしかしたらこれもその1つなのだろうか。そんな話を一度も聞いたことがないとするとまだ見つかっていない遺跡なのかもしれない。科学文字があることからして間違いないはずだ。


 「科学文字ですか」


 レイは1つ新しいことを学びましたと喜んでいる。俺は、その様子をほほえましく思った。


 「まぁ、科学時代のことなんかもうほとんど忘れられていて実際どうでもいいと扱われているのが現状なんだよ」


 俺は最後にそう言った。俺達はまた歩き始めた。まだ先は長い。


 「レイ」


 俺はレイの名前を呼ぶ。


 「何ですか?」


 レイは答える。俺は続けて質問をする。


 「レイはこの後どうしたい」


 俺は尋ねた。この後というのはエイジアに着いてからのことだ。この先レイが魔術師になるのかそれ以外のことをするのかなどの選択肢について俺は聞いておきたかった。


 「そうですね。私は魔術師になるつもりです」


 レイはすぐに答えた。その答えには迷いがなくもう既に何をしたいのか決まっていたようだ。


 「そうか、どうしてだ」


 俺はさらに奥へ質問を知る。俺達は話をしている間にも地下通路の奥へと足は進んでいく。


 「どうしてと言われましても………ギンさんと一緒にいたいから(ボソッ)」


 その言葉の最後はぼそぼそしていて聞こえなかった。


 「今何て言った?」


 俺は聞き返す。レイは慌てて答える。


 「何でもないです。ギンさんなんて知りません」


 何でかわからないがレイに怒られてしまった。俺はなんか悪いことをしたか。なんか理不尽な気がするのは気のせいじゃないか。


 「すまない」


 俺は一応謝っておいた。なんか怒らせてしまったなら謝るのが同義であろう。


 「別に怒ってはいませんよ。ただ、ギンさんが鈍感なのが少し問題なだけです」


 ? 鈍感? 俺が鈍感ってどういうことだ。


 「鈍感って何がだ?」


 俺は何が鈍感なのか尋ねてみた。しかし、レイはため息をついた。


 「相変わらずですねギンさんは」


 相変わらずってどういうことだ。俺には理解できなかったがレイはその後もしばらく笑っていた。


 ─砂漠の地下の???(アイリス視点)


 「う、うぅーん。こ、ここは?」


 「アイリス! 目覚めた?」


 ピーチェが私に声をかけた。私はどうやら謎の砂地獄に巻き込まれた後どうやら気を失っていたみたいだ。

 ガシャガシャ

 手のあたりから変な音がした。しかも両手は上にあげられていた。

 

 「へっ?」


 私は思わず間抜けな声を出してしまった。よく見ると自分の右手、左手には拘束具が付けられている。何? これは一体どういうこと?


 「アイリス、私達は何者かに囚われているのよ」


 ピーチェは私にそう言ってきた。私達は今天井から吊り下げられている状態だ。こんな状態になっているということは誰かにやられた以外ありえない。いったい誰が私達を。私の心の中は不安になってきた。

 

 「一体誰がこんなことしたの」


 「わからない。私が目覚めた時にはすでにこんな状態になっていたから………」


 ピーチェも誰がやったのかわからないみたいだ。私の心の中の不安は余計に高まる。

 ギン助けて。

 私は心の中で自然と自分の大好きな人が助けに来てくれることを祈った。

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