第21話ミーサ②
今から3年前のことです。私は、このユニバール魔法王国の北東に位置する小さな町に両親と弟と4人で暮らしていました。私には魔法の才能があるということが適性検査で分かっていたのですが、家族たちと一緒に暮らしていたいので断り続けていました。私は家族と暮らしている日々がのどかで心温まる生活だったからです。町の人たちもみんな仲が良くて家族ぐるみの交流をしていました。こんな平和な日々がいつまでも続いてくれればいいのに当時の私はただそれだけを望んでいました。
しかし、そんな平和な日常は何の前兆もなく突然やってきました。
町は滅びたのです。
あの、あの男のせいで。
その男は突然町にやってきて村人を殺し始めたのです。私の家族ももちろん町の人も逃げ出しました。しかし、彼の手下の魔法によって次々と捕まりそして………殺されました。その間の手は私の家族にも及びました。私の目の前でお父さん、お母さん、そしてケイ…弟も殺されました。次は私の番だと思って覚悟を決めたその時彼は私を殺すなと命令したのでした。
私はこの時は命が助かったことだけを喜びました。しかし、後々になって気付いたのです。この大量虐殺はただ魔法が使えるものを見つけ出すためにやっていたということだったんです。この時に感じたのはその男つまり盗賊団不死の宝石のボスゾームに対する憎しみだけでした。
私は、連れ去られた後ひたすら魔法を使うことを強要されました。なので、ひたすら練習しました。いつか復讐を果たすために。私がゾームに首を絞められていたのはあなたがゾームを引き付けている今がチャンスだと思ったからです。ですが、全てばれていたみたいです。私のこの3年間はなんだったのでしょうか。この3年間は無意味だったのでしょうか。
「そんなことはない」
私は、ミーサの話を途中で遮った。そして、強くそれを否定した。
「ミーサ。お前は、まだゾームに対して何もできていないのだろう? だったら再び共に立ち上がろうじゃないか。そうしないとお前の弟のためにもならないぞっ。お前の覚悟はその程度だったのか?」
「違う。私の覚悟はこの程度じゃない」
ミーサは私の言葉をさらに否定するかのように怒鳴った。その声は先ほどまで死にかけていた人とは同一に感じることはできなかった。
「ならば、共に戦おう」
私は、ミーサに手を差し伸べた。
「………今さら、今さらあなたと共に戦うことなどできません。これは私の問題なのです」
しかし、ミーサは首を振った。私の手を取らなかった。いや、取ることができなかった。そのミーサの手には震えが見れた。
「その言い分は分かった。だが、それでもあきらめない。君のことを私は守りたいから」
私は、それでも退かずにミーサに問いかける。ミーサに対して告白的な意味を込めて。その言葉は効果があったようでミーサの顔はすぐに赤くなった。
「あ、あなた、な、何を言っているの? 馬鹿なの? そんな告白みたいなことを言って」
めちゃくちゃ動揺していた。可愛いと思ったのは心のうちだけにしておこう。
「ああ、告白しているからな」
私は正直に言う。その言葉を聞いたミーサの顔はさらに赤くなった。まるでリンゴのように。
「なっ」
あまりの衝撃でミーサは何もしゃべることができなくなっていた。口から出てくるのはああという簡単な一語程度の言葉だけだった。
「意外と純情なんだな。ミーサ」
「わ、私は実は純情なんだよ。悪いかっ。ビッチじゃなくて」
ミーサは顔を真っ赤にしたまま反論してくる。
「いや。その方がうれしいよ」
「なっ」
また、私の言葉でミーサは黙ってしまった。
さて、そろそろ本題に戻ろう。今、私たちはゾームと戦っている最中だ。そして、ミーサは元気そうにしているが実際はもう空元気に過ぎない重傷を負っている。そして、そろそろ奴がこの部屋に戻ってくるだろう。次こそあいつを倒す、いや殺さないと私たちは生き残ることができない。何とかして対策を撃たなければ。
私は、ミーサを見る。そして、
「ミーサ。お前を守る。絶対に死なせないからな」
私の決意を述べる。ミーサは今度は静かにうなずくだけだった。そのことで私の覚悟は今度こそ決まった。あいつを今度こそ………殺す。
私は、その場で立ち上がった。
その直後、
氷によって閉ざされている向こう側から爆発音が聞こえた。奴がついに来るのか。私は、身構えた。そして、2度目の爆発で氷が壊れて向こう側の様子を見ることができるようになった。
しかし、そこで私が見たものは………。
感想お待ちしています。また、アドバイスがあればご教授よろしくお願いします。




