第20話ミーサ①
久しぶりの投稿です。
次はお前だと私はミーサに向かって言おうとした。しかし、その場にはさきほどまでいたミーサはいなかった。ただ、後ろからミーサの呻き声が聞こえた。
「あぁ、うぅ」
振り向いてみるとミーサはゾームによって首を絞められていた。仲間同士で殺し合いをするとはなかなかなものだ。最初は私はそう思った。あれだけ私が苦しめられた四天王が減ってくれることには感謝したい。これ以上戦いたくない。これは本音の一個だ。だが、それと同時に思ったことはここでミーサを見殺しにしていいのかということだった。あいつは、敵だ。私はずっと意識していたはずなんだ。スパイとしてこの盗賊団に忍び込んでいたあの時から──。
いや、思い出した。あの時のことを。だから私は、私のやるべきことは。はぁー、集中力をためる。
「eternala glacier」
「何だと!」
あの冷静なゾームが私の行動に驚いた。ゾームもさすがに私が攻撃を仕掛けてくるとは考えていなかったようだ。
私は、ゾームに向けて氷属性の魔法をかけた。ゾームに向けて氷によって作られた川が流れていった。流れる氷すなわち流氷の量はこの部屋をいっぱいにするのには十分な量であり、ゾームはミーサを投げ捨てて回避行動に移した。ゾームはこの部屋から一回出るだろう。
ゾームがこちらへと近寄ることができない。まずは、様子を少し確認する。
しばらくしても反応がなかったことから距離をとったということを確認したのでミーサの元へ駆け寄った。
「おい、ミーサ! ミーサ!」
ミーサに向かって叫んだ。ミーサの意識はまだかろうじて残っていた。しかし、誰が見てもかなり弱っているのは明らかに見えていた。声も弱弱しかった。息もうまくできていなかった。
「な、なんで…私を……助けたの、ですか……」
必死に発した言葉は本当に弱弱しかった。
「何でって、そんなの決まっているだろ。恩返しだよ。何だかんだ私の正体をいち早く気付いていながら黙ってくれたではないか」
「そんなの……ただの、気まぐれよ」
「私にはお前が悪い奴だとは思えない。本当は何か事情があるのではないか」
ミーサは黙った。この黙秘で何かあるということを察した。だからこそ、聞きたかった。黙ってミーサが口を開くのを待った。しばらく時間が経つとミーサは諦めたらしく口を開いた。
「あなたは、性懲りもありませんね。こうなるのであったらボスに密告しておけばよかった……でも、わかりました。話しましょう。私の過去を………」
そして、ミーサは語りだした。自分の過去について。
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