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二級魔術師のギン  作者: 騎士星水波
最終章 漆黒のモンスター編
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第127話絶句

 私は次の瞬間頭の中で何かが光った気がした。


 「そうか、これなら」


 私はある1つの案が思い浮かびました。ギンさんを戦わずに勝つ方法。しかし、この方法を使うのは私にとっていや、私たちにとってはとても胸が痛いことです。でも、それでもギンさんを元に戻すのが私たちの果たすべき役割。そのためならば私達は喜んで失恋・・もします。その覚悟で私は作戦をみんなに伝えようとします。


 「ピーチェ、もう覚悟はできたいみたいだね」


 「まったく私でもそれぐらい最初からわかっていたというのに」


 私はレイとアイリスの今考えた最高の作戦を伝えようと思いましたが、なぜだか自分の後ろには2人が立っていました。


 「何で私が考えていることが分かったの」


 私はまだ口に出していないはずの作戦をこの2人はどうやら理解しているようです。隣にいつの間にかにいたミーサもうんうんと頷いています。


 「私は作戦についてわかってないよ。でもね、ピーチェ。私はレイとアイリスの2人がどうして作戦のことを口に出していないのに知っているのかという理由だけはわかる」


 ミーサはにやにやした顔で話す。

 もう、そのにやにやは一体何なの。私はつい文句を言いたくなってしまう。


 「……理由って何?」


 私はミーサに反抗する意思を込めてややぶっきらぼうに聞く。声もいつもより低めに話した。


 「それ本当?」


 「まさか本当に分かってないの?」


 レイ、そしてアイリスに疑われるかのように返答される。なんでそうなるの。私だって本当に分からないんだもの仕方ないじゃん。

 私はどうしていいのかわからなかった。


「まったっくねえ、こういう時に鈍感なのがギンさんと似ているよねピーチェは」


 「そうそう私達3人の中で一番ギンさんと一緒にいたからかな」


 「そんなに笑わなくてもいいでしょ。で、理由って何なの?」


 私は2人に笑われ続けたことに我慢が出来なかった。どうして私は笑われているのか。理由っていうのはなんなのか私は本当に思いつくことのなかった。


 「まあいいわ。それには私が答えてあげるよ。2人が答えないのは照れているからだしね」


 ミーサが私たちの話に割って入ってきた。

 照れている? 私はミーサのその言葉に引っかかった。レイとアイリスは何を照れているのであろうか。私には本当に理解することができない。

 私は、その言葉を聞いても顔にどうやら疑問符が浮かんでいたみたいでミーサが続けて説明を始める。


 「私からしたら今の3人は本当に息の合ったチームだと思うよ。特にあなた達は誰にも指示されることなく相手のしたいことが理解できている。それって信頼関係がものすごく出来上がっているということでしょ? だからピーチェ、レイとアイリスの言いたかったことは『私たちはチームだから』あたりの言葉だと思うよ」


 「「「……」」」


 ミーサの言葉に私だけでなくレイ、そしてアイリスも黙り込んでしまった。

 そんな言葉いきなり言われても照れてしまう。なるほど、照れているというのはこういうことであったのかと私は思いました。

 レイ、アイリスの顔は少し赤くなっていました。心なしか私も照れてしまっています。


 「さて、ネタばらしも終わったことで作戦に移らないとまずいんじゃないの?」


 「ええ、そうね」


 私は動揺しながらミーサの言葉に答える。レイ、アイリスも異存はないようだ。

私は行動に移る。

 この作戦を実行するにはある人に頼らなければならない。その人というのは現在別の漆黒のモンスターと戦っている人だ。


 「はあああああああああ」


 「やあああああああああ」


 「ぐあああああああああああああああ」


 私達が向かった先には巨大な虫のような形相をした漆黒のモンスターと戦っている男女がいた。この2人は現在の神に選ばれし13ゴッドスレイヤーズ・サーティーンのメンバーではない。しかし、現在の神に選ばれし13ゴッドスレイヤーズ・サーティーンと同じかいやそれ以上の実力を持っている。

 男性の方。キン=ハバード。ギンさんのお父さんであって先代神に選ばれし13ゴッドスレイヤーズ・サーティーン序列第2位。

 女性の方。ラン。ギンさんの幼馴染にして初恋の相手。数年前に事件で亡くなっていたと思われていたけど実は生きていた。

 この2人が戦っていた。そして、私たちはこの2人のうちの1人に用があった。

 私達は用があった相手のもとへと駆け寄る。

 私達が駆け寄った相手とは……ランであった。


 「ランさん」


 私は漆黒のモンスターの1体を倒して一休みしているランに声をかけた。


 「なーに?」


 ランは不思議そうに私達の顔を見た。どうやら私達がやけに真剣な表情をしているので何事かと思ったようだ。

 私は、急な用ということもあるのでさっさと用件を話すことにする。


 「ギンさんを止めるのに協力してください」


 私達は頭を下げた。

 私が私達が考えた作戦というのはこのことだ。もう私達ではギンさんを止めることなどできない。ならばどうやれば止めることができるのか。それはいまだにギンさんはランのことを思っているそぶりを今までに見せてきた。そのランがギンさんの前に現れれば動揺するであろう。そこで揺さぶることができればギンさんも元の姿に戻る機会を作り出すことができるのかもしれない。

 これが私達の作戦のねらいであった。

 ランは私達の提案について一言だけ言った。


 「それは無理なお願いだね」


 私達はランのその予想もしていなかった言葉に絶句してしまったのであった。

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