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二級魔術師のギン  作者: 騎士星水波
最終章 漆黒のモンスター編
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第126話2人の神に選ばれし13人

(ピーチェ視点)


 私は落ち込んでいたミーサに対して長々と話をし続けた。そのおかげなのかミーサは漆黒のモンスターという絶望によっておられた心を何とかして復活させることができた。


 「じゃあ、行こう!」


 私たちの戦いはこれから始まる。私たちはギンさんを何としても漆黒のモンスターから元の姿に戻さなければならない。ほかの漆黒のモンスターについては神に選ばれた13ゴッドスレイヤーズ・サーティーンの人たちがどうにかしてくれるだろう。だから、私たちが考えることはギンさんのことだけだ。


 「おい、女」


 私達がギンさんに向かって戦おうとしたときにゴッドスレイヤーズ・ばれた13サーティーンの1人の男に声をかけられる。

 金髪で目つきの悪く容貌はいかにも不良のこの男の名前は確かレグホンだったはずだ。

 レグホン=サンバルド。神に選ばれた13ゴッドスレイヤーズ・サーティーン序列11位にして攻撃系魔法に特に精通している魔術師。得意な魔法属性は水属性。

 そんな彼が私達に声をかけてきた。


 「何ですか?」


 「漆黒のモンスターの弱点について知っているか?」


 「……知りません」


 「ならば、漆黒のモンスターの顔付近に凸上の出っ張ったものがあるはずだ。そこを狙え」


 「ありがとうございます」


 レグホンは私達に漆黒のモンスターの倒し方についてレクチャーというかアドバイスをしてくれた。見た目は不良で雰囲気もちょっと怖い人であるけど本当は優しい人であったんだ。私はそのことに少し驚いてしまった。しかし、驚く暇など今の私にはない。


 「ピーチェ、先に行くよ」


 アイリスがさっさと戦いに出て行ってしまったからだ。アイリスはギンさんまでの距離を一気に狭める。漆黒のモンスターと化したギンさんはその場から動くことはない。ただ、やみくもに吠えているだけだ。まだ、こちらの動きはばれていなかった。


 「はああああああ、雷撃演武っ!」


 雷撃演武

 雷属性 技ランク3

 能力 自身の体に雷をまといながら敵を倒す魔法


 雷撃演武はアイリスが最近習得したもっとも強固な魔法だ。

 アイリスは体に雷をまとう。そして、そのまま雷を自由自在に扱う。こぶしに雷をまといギンさんに向かって思いっきり殴りかかる。


 ドン


 アイリスのパンチによって鈍い音が心一体に響き渡る。


 「ぎゃおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」


 殴られたことによってギンさんは悲鳴じみた声を上げる。

 

 「「「くっ」」」


 少し離れた位置でアイリスの攻撃を見守っていた私達であったが、それでもギンさんの声はここまで響き届いた。声が振動として私達の体に打ち付けてくる。ただ、吠えているだけなのに普通の魔法よりも強い威力を誇る魔法みたくなっている。

 

 「ピ、ピーチェどうするの?」


 レイが聞いてくる。確かにこの場面でどうするのか考えた方がいいかもしれない。ただ闇こもに戦っても勝てるような相手ではない。それに私達は前に漆黒のモンスターと戦った時に嫌というほどのその力の差というものを思い知らされた。だから、考えなしに突っ込んではダメだ。

 私は考える。

 強くないものにとって作戦とはもっとも重要なものであると私は考える。あまり思い出したくない記憶であるけど、魔術師試験には筆記試験も実はあった。筆記は2次試験であり1次試験であった実技試験が漆黒のモンスターの騒ぎによって中止に追い込まれて、私たちは特別に合格させてもらったという背景もあり筆記試験は実際には受けていない。しかし、受けていないけど対策としての勉強はしっかりとした。その時に魔術師の心得的なものもギンさんに教わった。

教わったものはしっかりと生かさなければならない。ギンさん、私があなたに何を教わったのか見せます。私はそれぐらいの意気込みで作戦を考えることにした。


 「ちょっと、待ってて」


 「ピーチェ、大丈夫なの? 何だったら私も考えるけど」


 「ミーサの提案はありがたいけどここは私に任せてくれないかな。それよりもミーサには時間稼ぎをしてもらいたい。レイもね。アイリスと一緒にしばらくの間ギンさんお相手をしてくれないかな」


 「わかったよ」


 「了解です」


 ミーサ、レイの2人が私を信じてくれて指示に従ってくれた。私はそれだけでとてもうれしかった。しかし、これに満足してはいけない。指示に従ってもらった以上私には作戦を立て終えるという義務がある。何としても漆黒のモンスターと化したギンさんを止めて元の姿に戻すことができる作戦案が思いつかなければならない。責任は重大だ。

 私にはできるのであろうか。私は、本当に……。


 「そんなに自分を追い詰めるな。そういう時こそ1回落ち着いて周りを見渡せ。そうすれば道は開かれるぞ」


 「は、はい」


 後ろから神に選ばれた13ゴッドスレイヤーズ・サーティーンの1人に声をかけられた。

 赤色のぼさぼさ髪で身長は私とは大して変わらないぐらいの少し年のいった、おしゃれな黒縁メガネをかけたやせ形の男だった。この人の名前は知っている。昔お父さんが一緒に戦ったって言っていた人だ。神に選ばれた13ゴッドスレイヤーズ・サーティーン序列第4位。現在いる神に選ばれた13ゴッドスレイヤーズ・サーティーンの中で最も古株であり現在の第1位以下第3位までがいなかったとしたら確実に歴代最強の魔術師と呼ばれてもおかしくはない実力を持つ男であった。

 名前はナップル。辺境の地の貴族出身の人だ。


 「そんな緊張するな。お前は何のために戦うライムの娘よ」


 「わ、私は……」


 私は何のために戦うのかをナップルさんに聞かれた。私は何のために戦うのか、そんなのもう決まっている。


 「私は、私たちはギンさんの役に立ちたいんです! ギンさんにいろいろなことを教わりました。だから、ギンさんが苦しんでいる今この時恩返しをしたいんです!」


 私のウソ偽りのない言葉であった。そう、私の戦いたい理由はこれだ。どんなにギンさんがランさんを思っているのか知ってしまった今でも私達はギンさんに思いを寄せていることには変わりはない。恋する乙女としてこれだけは譲ることはできない。


 「そうか、ならば行け! お前は素晴らしい作戦を考えられるだろう」


 「はい!」


 私は勢いよく返事をして1回思いっきり深呼吸をします。

 そして、次の瞬間に頭の中で何かが輝いたひかった気がしました。


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