三十三話【真打ち登場】
「そして我ら神戸ティガースのスポンサーである・・・・・
神竜寺グループの社長、神竜寺義啓さんです!!」
選手達がやってきて30分後、麗華の父である神竜寺義啓が舞台に登場。
観客席からは盛大な拍手が送られる。
よく神竜寺グループはテレビCMでも出ている。
兵庫県内最高の企業を知らない人はそういないだろう。
父もこうして見るとやはり偉大な人なんだろうなぁと思った。
普段近くで食事をしたりしているのでそう感じることも少なかった。
「本日はティガースファン感謝祭にわざわざお越しくださり
誠にありがとうございます!」
「いえ、私もファンですし選手達を間近で見てみたいとは思っていましたから。
ふむ・・・最近は背が高い者ばかりが集まっていますね。
舞台に立っている私と比べると差は凄いことでしょう」
いつもはマナーなどに厳しい父だが、やはり公共の場だからだろうか。
笑っている姿や発言などが全くと言っていいほど違った。
まるで人が変わったかのように。
そしてそうした見方をするのも初めてだった。
その後は施設や選手一人一人の抱負などと言った話が続いた。
「これからも応援させていただきますので、頑張ってください!」
父の話は終わった、再び盛大な拍手が送られる。
選手達も『ありがとうございました!!』と大きな声で礼。
これではまるで甲子園へ向けて頑張る高校球児。
と言っても坊主にしている人はいなかったが。
麗華もこれで感謝祭は終わりかな、と思って気を楽にしていた。
その後に傘を渡して一足お先に帰って勉強をしようと考えている。
少しだけ気持ちが入っていた彼女だがどんな時でも自分のスケジュールは変更しない。
デパートの中だから音は聞こえないが雨も少しは止んでいる気がする。
座りっぱなしでさすがに疲れたか、両腕を上げて体を伸ばす。
リフレッシュ気分でいた神竜寺麗華。
「神竜寺義啓さん、ありがとうございました!!
それでは本日最後のイベントへお進みしたいと思います!!
神戸ティガースを僅か3年でリーグ優勝に導いた。
球団初となる日本一達成に導いた。
野球ファンなら誰もが知る名将!!!
須網剛監督の登場です!!!」
「・・・・・!!?」
そんな彼女の気持ちを揺るがす出来事が現れた。