第二話【片手にパン、片手に問題集】
学校で一時の楽しみと言えば給食の時間だ。
1~4時間目の授業で頭を使って少しずつ疲労は蓄積している。
朝から昼までの時間は長いもので、授業中に睡魔が襲ってくる。
遅刻しそうになった生徒は朝ご飯を食べていないことが多いため、余計に眠くなってしまう。
空腹は満たされるし、沈黙の場が一気に賑やかになる。
そうなるとその気分が残って残りの授業は集中して聞くことが出来る。
弁用を持参することが出来るのであればもちろんそれが一番だが・・・
ほとんどの中学では給食なので好きな時間に食べることは出来ない。
とにかく学生ならお昼の休み時間という言葉が好きだろう。
グラウンドに遊びに行く者もいれば睡眠を取ることも・・・
自由時間は素晴らしいだろう。
そんな中、一人食事を摂りながら勉強をしている
「3:4:5は経験的に正しいが、比から導かれるc2 = a2 + b2が・・・」
(モグモグッ)
机に置かれている物は「必勝!難解数学問題集」
片手にパンを持ちながら文章を口に出して読む。
一通り読むとパンを食べる。
そうしているのにも関わらず周りと食べる速度はそう変わらない。
「・・・ここはもう解きましたわね・・・」
解いたところは飛ばし、次のページの問題をする。
時間配分もしっかり頭に入れて楽な方を先に片付ける。
2つのことを同時に行い、加え暗算で解いていると言うことを先にお伝えしておこう。
そんな普通の人がしないような事をしているが
これでも人付き合いは良い。
向こうから話しかけてくることが多い(自分からはあまりない)
学級委員長であり生徒会長でもある。周りからの評価は高い。
困ったことがあれば花に集まる蝶のように寄ってくる。
気品溢れるが、極端な人付き合いはしない。
基本昼休みも勉強を続ける。
放送で呼び出されることがあれば職員室へと向かう。
彼女の学校生活はこんなもので
分かりきっている授業を受けるのが退屈だと言うことも分かる。
将来は兄・姉同様、城木大学に入学することは決まっている。
彼女には目標も夢もなくただ暇な毎日を送っているだけ。
何か楽しいことでもないかと思うようにもなってきた。